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歯周病 -ペットの高齢化により見られる病気-

教えてドクター|ペットの健康

歯周病 -ペットの高齢化により見られる病気-

うちの愛犬(猫)の口から小学校のメダカの水槽のにおいがする…

たかが歯、されど歯

 「ペットの口は臭くて当然よ」そう思われている方は多いと思います。 が、お待ちください。その悪臭の原因は口腔内にのさばる歯周病菌の代謝産物です。ということは、口臭のあるペットの口には、歯周病の原因になるバイキンがたくさん居る、ということなのです。

「いいわよ、虫歯でも、どうせ犬猫なんだし。かわいいから口が臭いくらい許す!!」そうお思いでしょうが、実は、進行した歯周病が、最終的に命を奪うような事態は意外に起こりえるのです。動物は口が痛いと、それが「歯周病だから」などとわかりませんから、単純に食べなくなります。食欲があるけれど食べられない状況になります。口から物を食べなくなった動物は大体1週間程度で衰弱死します。ペットが高齢になり、麻酔のリスクがずいぶん高くなった状態では、進行した歯周病のために命を落とすことだって、十分起こり得るのです。

 
歯周病が引き起こす重大な病気

実は、歯周病自体ももちろん進行すれば動物にとってこの上ない苦痛なのですが、それだけでなく、歯周病が原因で引き起こすいくつかの重大な病気もあります。

まず、動物の犬歯の根元は深く、眼窩(眼の下の窪み)に近接しています。歯根に入り込んだバイキンが膿瘍を作り、眼を押し上げてしまう病気を眼窩膿瘍といい、ウサギなどでは致命的な疾病の一つになっています。犬猫でも、致命まではいかなくても、視神経に悪影響を及ぼしたりする場合もあります。

また、日本の家猫は、シニア世代を超えるとかなりの高確率で腎臓を悪くするのですが、その原因の一つが歯周病であるとう説があります。日常的に口から摂取しているバイキンが、老廃物および毒などの排泄器官である腎臓のろ過能力を超えて蓄積し、腎炎を引き起こすという仮説です。

日本の5歳以上の家猫の8割以上が、治療が必要な歯周病にかかっていることがわかっていますが、腎臓病への罹患率も、非常に高いのです。腎炎の症例で原因菌を分離したところ、口腔内の細菌と一致した、という一部の報告もあります。歯周病が必ず腎臓病を引き起こすわけではありませんが、リスクを引き上げるのは確かなのでしょう。

実際に臨床の現場に居ると、腎臓の悪い動物の口臭は、なんとなく分かることが多く、検査前の段階で「腎臓だろうな」と思うことも少なくありません。そして、腎臓病の治療を開始すると口臭がぐっと減ったりします。

 
歯周病は予防が大切!

動物の場合、人間で言うところの小児歯科に近く、とにかく治療を我慢しないため、水を使う超音波スケーリングなどは誤嚥などのリスクを避けるため、たかが歯石取りとは言え全身麻酔をかけて行うのが一般的です。また、猫のウイルスがらみの口内炎は、非常に治りが悪いため、強い抗炎症効果を期待して繰り返しステロイド投与を行うのが一般的な対処法になります。いずれも、臨床症状を和らげるためにやむをえませんが、出来ればやらないでおきたい処置です。

たかが歯ですが、とにかく歯周病に罹らせないことが、動物の場合は特に大切です。日ごろから缶詰フードを与えないようにし、最低でも1週間に一度は歯磨きをしてやる、生物酵素を用いた口腔内の細菌環境を整えるジェルを使用する、ウイルスがらみの口内炎には免疫力を増強するサプリメントを与えるなどなど、歯周病予防のために出来ることはたくさんあります。従来は、動物の歯は抜けても食べられるから、歯周病は抜け落ちるまで放っておいて大丈夫、といったスタンスの動物病院も多くありましたが、獣医歯科医学の進展に伴い、予防的、治療的対応が可能な動物病院が、増えました。

 
なってしまってもあきらめないで!

「どうせもううちの子の口は壊滅的だから」と悲観的になる必要はありません。血液検査をして麻酔がかけられる状態なら超音波スケーリングで一度歯根のバイキンをキレイにかき出し、緩んだポケットを修繕すべく前述のブラッシングなどに励み口内環境を良好に保てばよいのです。

歯石がつき、歯肉が赤くなってしまったら、歯根がしっかりとあるうちに、動物病院でスケーリングをしてもらいましょう。この際、無麻酔下でハンドスケーラを用いてガリガリ歯石を取ってしまう病院がありますが、エナメル質を傷つけ、そこにさらに食べかすが付着し、歯石がたまりやすくなります。きちんと超音波スケーラならびに研磨をしてもらうようにしましょう。

また、なかなかブラッシングをさせてくれない子には、物理的に食べかすを除去するようなかたいオヤツや歯石に配慮した設計のフードを選ぶ、口内細菌の状態を整える抗生物質を一時的に服用するなどの対応がありますので、唾液がぬめったり、口臭がきついと感じる場合は、お早めにお近くの動物病院にご相談ください。





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