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ペットの健康に関心の高い方が増えてきました。
今回は、日本サプリメント評議会評議委員でもある獣医師の塩谷朋子先生に、ペットフードについてのお話を伺いました。

今回は、「新ペットフードにご用心!」の著者である押川亮一氏と、押川氏の意思を継承し、ペットフードの通販専門店を先月オープンした白澤明子氏を迎え、ペットフードについてのお話を伺いました。

弁膜症 -ペットの高齢化により見られる病気-

咳をしたり散歩を嫌がったり、息切れをするのはなんで?

もしかしたら「弁膜症」かもしれません
もしかしたら「弁膜症」かもしれません

人間同様、動物も高齢になると心臓病を発症しやすくなります。臨床でよく見る代表的な心臓病は弁膜症と呼ばれるものです。心臓には左心房、左心室、右心房、右心室の4つの部屋があり、それぞれの部屋には血液の逆流を防ぐために「弁」と呼ばれるフタのようなものがあります。心臓をめぐる血液の流れは、心臓の伸縮に合わせて開閉されるこの4つの弁の働きによって、精密に制御されています。弁膜症はこの弁がうまく閉まらなくなったり狭くなったりしてしまう病気です。

弁膜症をより理解しやすくするために、病気について触れる前にまず心臓を中心とした血液の流れについてお話します。 肺で新鮮な空気をたっぷり含んだ血液は肺静脈から心臓の左心房に入り、次にその下部にある左心室に入ります。そして勢いをつけて全身に送り出されます。この二部屋の間にある弁を「僧帽弁」と言い、心臓から全身に血液を送り出す弁を「大動脈弁」と言います。

全身をめぐり心臓に戻ってきた血液は右心房、次いでその下部にある右心室に入り、肺動脈を通って肺に到着します。この二部屋の間にある弁を「三尖弁」といい、心臓から肺に血液を送りだす弁を「肺動脈弁」といいます。そして肺動脈弁から送り出された血液は肺に到着し、二酸化炭素と酸素の交換が行われ、再び心臓の左心房へと向かいます。

しかし、それぞれの弁がうまく機能しなくなると血液の逆流が起こり、弁膜症の様々な症状が現れます。弁膜症は逆流する弁の状態によって、閉鎖不全症、狭窄症に分けられます。

僧帽弁閉鎖不全症の症状
僧帽弁閉鎖不全症の症状

弁膜症の中でも臨床で特に見ることが多いのは僧帽弁閉鎖不全症(MR)です。僧帽弁閉鎖不全症になると、本来左心房から左心室に送られるはずの血液が逆流してしまいます。逆流した血液は肺に戻ってしまい、肺水腫などを引き起こします。また、駆出する血液量の絶対的不足により心臓は逆流分を補うべく駆出を繰り返すので、心筋は厚く肥厚していきます(心肥大)。結果として、肥大した心臓が気管を圧迫して咳が出たり、運動を嫌がったり息切れしたり(運動不耐)、舌の色が悪くなる(チアノーゼ)といった症状が現れます。

【弁膜症の時に見られる症状】
元気がない・食欲がない・散歩を嫌がる・よく咳をする・息が荒い
呼吸が苦しそう・すぐ疲れる・足がふらつく・失神してしまう

このような症状が出る頃にはすでに病気が進行していて、心臓や肺、僧帽弁の状態がかなり悪くなっていることが多いので注意が必要です。

【僧帽弁閉鎖不全症の進行】
初期:聴診で心雑音が聞きとれる・・・・・・・・・・・治療開始が最も効果的な時期です。
中期:聴診ではっきりとした雑音が聞こえる・・・薬剤による治療が行われます。
後期:呼吸困難などの明確な症状が出る・・・・・進行が進んでいるので、すぐに治療にはいります。
早期発見と予防が肝心!
早期発見と予防が肝心!

弁膜症は疾病初期段階で私たち人間にわかりやすい症状が現れにくく、また、「咳」という人間ではあまり重大ではない症状を主徴とするため、つい様子を見てしまって発見が遅れやすい病気です。しかし一度弁膜症になってしまうと、内科療法では根治できず、1秒でも長く心臓が動き生き続けられるように進行を食い止め、症状が出ないように手助けしてあげること以外に、人間の私たちにできることはありません。一部の施設では、人工心肺を使って心臓外科手術をおこなう事例もありますが、全身の状態によっては手術そのものが適用できません。とはいえ、弁膜症になったからと言ってやみくもに絶望的になる必要はなく、適切な観察や監視(モニタリング)と投薬で、かなりの保存的な維持が可能な病気でもあります。

弁膜症は小型犬に多く見られる病気です。キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルやマルチーズ、シーズーなど特に発病しやすい犬種は4歳齢を過ぎたら、チワワやプードル、ダックスフント、ミニチュア・シュナウザーなどの好発犬種は6歳齢を過ぎたら半年または1年に1回は定期検査を受け、早期発見に努めるようにしましょう。

また対策として、好発犬種には肥満防止や高血圧防止のサプリメントなどを日常的に使うとよいでしょう。ただし、血圧に作用するものの中には知識なく使うと危険なものもありますので、処方はかかりつけの動物病院でしていただいてください。

弁膜症と診断されたら・・・一生涯にわたるサポートで病気とうまく付き合う

細心の注意を払っていても、なるときはなるのが弁膜症です。弁膜症と診断されたら前述のとおり、内科療法では根治することはできず、病気の進行を遅らせるとともに、すでに存在する病変による機能障害を最小限に抑えるための一生涯にわたるサポートが必要になります。

まず、弁の機能を助けるために、血管を拡張させたりして血圧を下げる薬をベースに、病状の進行に合わせて疲労した心筋の働きを助ける薬や心筋の拡大を抑える薬、肺への血液逆流量が多ければ利尿剤などをさらに併用します。薬の量や種類は病態によって適宜変更、追加などの微調整が必要になりますので、かかりつけの病院との連携や連絡を密にし、定期的な観察と監視(モニタリング)を心がけてください。

また、薬物管理の一方、家庭での管理もこの病気ではことさら大切になります。急激に心臓がかかるような運動を避け(夏場の暑い時間帯を避ける、他の活発な犬との交流を避けるなど)、ナトリウムなどのバランスが特殊な処方食を与えるなどの気遣いをして病気とうまく付き合っていけば、その他の臓器の状態によっては弁膜症の持病があってもかなりの余命延長が期待できます。

オーナーさんの中には弁膜症だと診断がついて、「もう治らない病気なのだから、何でも好きなものを食べさせたい」とおっしゃる方もいらっしゃいますが、病状の悪化で一番辛い思いをするのはほかでもない愛犬です。1秒でも長く良好な状態の愛犬と一緒に暮らせるように、家族ができることを動物病院と相談しながら実践していってください。

弁膜症になってしまったら・・・慢性的な医学的サポートが長生きの鍵

弁膜症になってしまったら、病気の進行を抑えるための医学的管理が病気の発見から生涯続きます。医学的管理には薬物投与による治療と生活改善の両方が求められますが、薬物投与は病気を治すものではなく、あくまでも症状を緩和させるだけに過ぎません。だから、家庭での暮らし方には特に配慮が必要です。

◆薬物投与(医療サポート)
心臓の負担を軽減するため、通常は内服薬での治療が主になります。具体的には、血圧を下げる薬や心臓の筋肉が拡大するのを抑える薬を使ったり、肺への逆流がひどい場合には利尿剤を使用したりします。場合によっては処方食などが病院から出されることもあります。

薬をいったん飲ませはじめたら、オーナーさんは毎日、生涯にわたって愛犬に飲ませつづける努力が不可欠です。少し症状が軽くなったからと途中で薬剤の投与を止めてしまうと、そのリバウンドで病気がひどくなることも珍しくありませんので注意しましょう。また、病気の進行によって薬の種類や量などを調節しなくてはならないので、定期的に動物病院で検診を受ける必要があります。

◆生活改善(生活サポート)
何度も言うようですが、弁膜症の治療は病気の発見から一生涯続きます。家族が協力してペットの生活全般をサポートしていくことが、病気の進行を遅らせる鍵となります。

弁膜症は肥満犬に比較的多い病気なので、体重や食事の管理も大切です。塩分や脂肪分の多い食べ物を与えないなど普段から食事に気を遣うことは弁膜症の悪化を防ぐばかりではなく、健康的な生活を送るためには欠かせないことです。また、口腔内で繁殖する細菌が血液のなかを循環して心臓に入り弁膜症を悪化させることもあるので、口腔内の衛生管理にも気をつけておきましょう。ペットと共に幸せな毎日を送れるよう、日頃からしっかりと健康管理をしましょう。

他の犬と会って興奮してしまうと心臓に余計な負担をかけることになりますので、些細なことですが、散歩や外出時にも注意と工夫が必要です。他の犬たちが少ない時間帯に散歩に出かけたり、できるだけ他の犬に会わないルートを選んだりすることも忘れずに。