ペットの健康
ペットは家族の一員です。健康で長生きしてもらうために飼い主として何が出来るでしょうか
ペットは家族の一員です。健康で長生きしてもらうために飼い主として何が出来るでしょうか
近所の河原などを散歩させているときなどに、首の曲がった老犬を連れている光景を目にしたことがおありでしょうか。人間でも年を重ねれば腰が曲がってくるので、その程度のものなのだろうと軽く受け流してしまうようなシーンなのですが、もしかしたらそのワンちゃんと飼い主さんは、何週間か前、何カ月か前、もしかしたら数年前に、大変な通院もしくは入院生活を送っていたかもしれません。6歳以上と言われるシニア世代、その中でも特に10歳以上の犬でときおり見られる 「特発性前庭疾患」の後遺症で、首が曲がったままになることがあるのです。
あなたの飼っている犬がある日突然フラフラするようになったら、特発性前庭疾患の疑いがあります。この病気を正しく理解するためには、まず「前庭」の場所やその働きを知らなければなりません。前庭は耳の一番奥にある器官で、体の平衡感覚や運動のバランスの調節をしています。特発性前提疾患とは、なんらかの原因(原因不明)で前庭の機能に異常が現れることです。
病気の始まりはほとんどのケースで突然(少なくともオーナさんから見て)です。 さっき元気にご飯を食べていたと思ったら急によだれをたらし、同じ場所をぐるぐるとまわり、首をかしげて歩き始めたりします。 ひどい時には嘔吐をし、痙攣のような発作を起こし倒れこむケースもあります。
高齢になると脳出血やその他神経系の異常も現れ、ひどい内耳炎からの移行でも似たような症状が現れるため こういった症状すべてを特発性前庭疾患とひとくくりにするのは危険ですが、脳神経の病気はCTやMRIのようなおおがかりな検査が必要で、検査結果を待つまでの間に暫定診断で治療を始めなければなりません。
特発性前庭疾患は原因も治療法も不明で、多くの症例では4週間程度までに自然治癒の経過をたどります。ほかの神経疾患を同時に疑って、診断的治療のためにステロイドを併用することもありますが 特発性前庭疾患であった場合、ステロイドを使った場合と使わない場合で治癒までの平均時間は変わらないという報告があります。
程度にもよりますが、前庭疾患による運動失調や平衡感覚の喪失による転倒、落下などによる骨折や外傷など二次的な疾病を引き起こすのを防ぐため、また、嘔吐の症状による虚脱や体力低下を防ぐ目的で入院して静脈点滴、ビタミン注射を行うこともあります。
前述の通り、特発性前庭疾患は自然治癒することが多い病気ですが、後遺症として首が傾いたままになることがあります。また前庭疾患との関連は明らかではありませんが、特発性前庭疾患から続いて痴呆に移行し寝たきりの状態になるケースもあり、前庭疾患を疑う場合は血栓溶解用のサプリメントなどを同時に処方することもあります。サプリメントの種類などについては、かかりつけの病院で御相談ください。