怪しい健康情報の見抜き方

医師との癒着もあれば、医師の書いた著書に業者が後から付け加えるケースもあるようだ。後者の場合、医師はたまったものではない・・・。
健康食品は食品であるため、医薬品のように効能・効果を広告することはできません。すると「それではどうして新聞などに『癌に効く○○』などという本の広告があれほど堂々と出ているのか」という質問を受けます。実はこれが健康食品の宣伝戦略のひとつなのです。
健康食品について書かれた本のタイトルはなかなか過激です。
「私たちは○○で癌戦争に勝った!」「驚異の癌治癒力○○」「○○で末期癌が消えた!!―癌に効く奇跡の○○」皆さんも新聞などでこのようなタイトルを目にしたことがあるでしょう。
健康食品は医薬品ではなく食品です。したがって、特定保健用食品でない限り「△△に効く」などという効能・効果を表示することはできません。もし、効能・効果を広告すれば薬事法違反となります。それではなぜこのような本には堂々と「癌が消えた」などと書いてあるのでしょうか。
本の内容をよく読むと、アガリクス茸とかメシマコブ、プロポリスなどといった一般名が使われており、特定の商品名が出ていないことに気づきます。これは「たまねぎが血液をさらさらにする」という主張と同列のものです。つまり、著者はある健康食品が癌に効果があるという考えを本の中で紹介しているにすぎません。商品広告で「△△に効く」という表示をしなくても、「△△に効く○○」という本を出すことで間接的ではあるものの合法的に効能・効果を宣伝できるというわけなのです。
このような本があれば、健康食品を販売する人たちにとっても好都合です。自分が口をすっぱくして説明するより、その本を紹介するだけでその健康食品の効能・効果を宣伝することができます。しかも、著者の某医学博士(?)のお墨付きもあるのです。
本の広告を有名新聞に出すことにもそれなりの理由があります。広告費を払えば新聞広告を出すことは誰でもできるのですが、新聞に広告を出すこと自体にその本の信頼性を高める役割があります。まさか天下の朝日新聞がいいかげんな広告は出さないだろう、というわけです。また、何百万という新聞の読者の目に触れることでその健康食品の知名度が上がります。誰でも知っているということで何となく安心感を持つことができるのです。しかも、その健康食品の名前が読者の記憶に残っていれば、その人や家族が病気になったときに思い出してくれるかもしれません。新聞に健康食品の本の広告を出すことには、本の販売促進以外の目的があるのです。
これらの本の内容の中心は、その健康食品で様々な病気がよくなったという体験談です。「癌に効く」という内容であれば肺癌、肝臓癌、大腸癌、なんでもよい。むしろ、いろいろな病名がある方が読者の心をつかみやすいのです。読者が自分をその体験談に投影しやすいからです。かくして読者は自分の病気も体験談で紹介された人のようにその健康食品で治るのではないかという期待を持つのです。そして最後に○○研究会の連絡先やその健康食品を入手できる販売店あるいはその健康食品を利用している施設などが紹介されています。
このように本を使って商品を宣伝販売する方法をバイブル商法と呼ぶのです。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)