怪しい健康情報の見抜き方

マスメディアの捕らえ方として、双方同じようにジャッジする目を持つ必要あり・・・。
同じ情報やデータであっても人によりその評価は異なります。その違いは、それぞれの基本的な知識の差だけではなく、それぞれがどのような主義主張を持っているかによっても大きく左右されます。自分の考えに合った情報に対する評価は甘くなり、逆に自分の考えに反する情報に対する評価は厳しくなるのです。
ある週刊誌に日本動脈硬化学会の高コレステロール血症のガイドラインを批判した記事が掲載されていました。動脈硬化の危険因子のない日本女性では心血管系リスクはきわめて低いのだから、そのガイドラインで掲げられた血清コレステロール値の基準値が低すぎるのではないか、というものでした。確かに主として心血管系疾患の頻度が高い海外データを参考につくられたそのガイドラインにも問題があります。その週刊誌の主張ももっともに聞こえますが、週刊誌に書かれていることをすべて受け入れてよいものでしょうか?
その週刊誌の同じ号でアロマセラピーが取り上げられていました。その記事は、最近その癒し効果が注目されているアロマセラピーが一部の医療機関でも行われるようになったことを歓迎し、「ダイエットや禁煙にも効果的」であるとしています。アロマセラピーが個人の判断で利用されているならまだしも、医療用に用いられているとすればそれなりの科学的根拠(エビデンス)が必要なはずです。しかし、まだアロマセラピーの医療への応用はまだ始まったばかりであり、そのダイエットや禁煙に対する効果にしても十分なエビデンスがあるわけではありません。にもかかわらず、その記事ではアロマセラピーのエビデンス(科学的根拠)に関してつっこんだ議論がなされていません。
一般にマスメディアは現代の西洋医学に基づく医療(通常医療)に対して批判的に取り上げがちです。「病気を診て人を診ない」「臓器別に細分化され心身相関についての配慮が足らない」などなど。しかも、その批判は、エビデンスの有無や細かな診療内容の問題、時に医師のまずい対応や患者側からの不満などにまで及びます。それに比べて、代替医療、つまり西洋医学以外の医療に関しての取り上げ方はいたって好意的です。「全人的医療」「自己治癒力を高める」「免疫力を高める」などの記述が目立ちます。しかも、代替医療ではその話題性が重視され、エビデンスの有無や客観的な評価について言及されることは少ない。通常医療への一般の期待の大きさからいえば、それらの批判を甘んじて受けなければならないが、だからといって代替医療へのマスメディアの寛容な態度が許されるわけではありません。
医療であれば通常医療であろうと代替医療であろうと同じ土俵で議論されなければならないと思います。マスメディアの両者に対するスタンスの違いは、ダブルスタンダードといってもよいものです。これは、「通常医療への厳しい目と代替医療への期待」を持つ一般の人たちにおもねったものといえるかも知れませんが、一般の興味に引きずられてそのスタンスをかえるようではその内容の信頼性に疑問が残ります。メディアとしてその内容の信頼度を高めるためには、まず一貫した姿勢を貫くべきでしょう。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)