怪しい健康情報の見抜き方

インターネット情報は無料が当たり前。しかし、その裏に収益構造あり・・・。
「情報はタダではありません。」くしくも畑違いの二人の方から同じような言葉を聞きました。確かにそのとおりです。タダだと思っている情報の場合、その裏には何かが隠されているか、それとも情報の質が悪いかのどちらかです。質のよい情報を得るためにはそれなりの対価を払わなければならないはずです。
ある患者さんから「ある医師に電話で相談したら、少ししか話さなかったのに金を払わされた。」という話を聞きました。初診の患者でなければ、電話による再診が認められるはずだから、その医師の対応は決して間違ってはいません。おそらくその患者さんは近所の人に相談するような気軽な気持ちで医師に電話したのでしょう。医療関係者でない普通の人のアドバイスとプロフェッショナルである医師のそれとではその情報の質が全く異なります。この違いについてその患者さんはどうもわかっていなかったようです。日本では、この患者さんのように、ものにはお金を払ってもサービスなど形のないものにお金を払いたがらない人も少なくない。
先日インターネットでサプリメント情報を提供している方とお会いしました。その方はできるだけ企業から独立して客観的なサプリメント情報を提供しようと活動している。企業に依存しない分、客観的な情報が得られるはずだが、逆に質のよい情報を得るためにはそれなりのコストがかかります。その人のもとには様々なサプリメントに関する問い合わせがくるそうですが、中には情報は無料だとばかりに傍若無人な態度で質問をしてくる人もいるといいます。ここにも、情報はタダという意識が存在します。
あるシンポジウムでご一緒した大学の公衆衛生学の先生は、その講演で健康情報番組の問題について解説し、「情報がタダではないこと」を強調しました。テレビ番組には常にスポンサーがあり、そのテレビ番組は何らかの意図を持って情報を提供します。彼はココアブームの例をあげ、それがココアを販売している企業のプロモーションの成功例であると紹介しました。ココアが健康によいというイメージ戦略は、ココアは子供の飲み物というそれまでの一般の認識を一新し、大の大人でも堂々と飲めるようにしたのだった。市場は広がり、ココアの売り上げは伸びました。結局われわれは、テレビ番組で紹介されていた商品を買うことによって、知らず知らずのうちに情報に対価を払っていたのです。この場合問題なのは、対価を払っているという認識がないため、その対価が情報に比べて高いのか安いのか判定できないことです。
医療はある意味で個人情報や医学情報のやり取りと捉えることもできます。患者の個人情報に相応した医学情報をプロフェッショナルとして提供することが医療関係者の使命のひとつであります。しかし、未だ患者の側にはその情報が対価を払うべきものであるという認識が希薄です。情報はタダではない、質の高い情報にはそれなりの対価を図るべきだ、という認識を一般に広めることが必要でしょう。もちろん、患者が喜んで対価を払えるような最新で質の高い情報を提供できるよう医療関係者として心がけることはいうまでもありません。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)