怪しい健康情報の見抜き方

マイナスイオン商品の科学的根拠について取材拒否・・・。
不況の中にあって、売り上げを伸ばしている業界があります。健康食品をはじめとした健康関連産業です。一般の健康に対する関心は高く、これからも健康関連の商品は人気を集めることでしょう。他の業界もここに目をつけないはずはありません。最近は「健康によい」という付加価値をつけた商品が増えてきました。しかし、その中には?のつく商品も多い。
さまざまな健康グッズの中に、マイナスイオンという言葉が目に付くようになりました。ここで言うマイナスイオンとは、かつて学校で習った水の中に存在するマイナスイオンとは異なります。大気中のマイナスに荷電した粒子を単にマイナスイオンと呼んでいるに過ぎません。大気中のマイナスイオンは滝の近くや森林、高原など自然の中に多く存在し、空気の汚れた都会ではプラスイオンのほうが多いのだといいます。自然の中で気持ちがよいのはマイナスイオンが多いから、だから都会であってもマイナスイオンを増やせば快適になるだろうというのがその論拠です。空気清浄機やエアコンにもマイナスイオン発生器をつけたものが増えており、どのパンフレットにも上記のような解説が出ています。
それではマイナスイオンがどのように健康によいのでしょうか。今までいくつか研究がなされているものの、巷で認識されているほど健康によいというデータはありません。マイナスイオンの効果に疑問を持ったある雑誌記者がマイナスイオンを発生する商品を製造しているある企業に取材を申し込んだところ、拒否されたといいます。このような話を聞くと、それぞれの企業がマイナスイオンの健康への効果に関する具体的なデータを持っているのか疑わしくなってきます。そのような目で見ると、確かに商品のパンフレットには、「空気をリフレッシュ」「心も体もリフレッシュ」などといったきわめてあいまいな言葉が使われていることに気づくのです。
自然の中にいれば誰しも気分がよい。しかし、それはマイナスイオンがあるからとは限りません。たまたま、自然の中にはマイナスイオンが多くあったため、このことと気分のよいことを勝手に関連付けただけなのかもしれません。しかも、マイナスイオン自体も単一のものではないのです。その発生器の原理もいくつかあり、必ずしも滝の近くに存在するマイナスイオンとエアコンから発生するマイナスイオンとは同一のものとは限りません。大自然の中の滝の近くにたたずんでいるときとエアコンからのマイナスイオンを浴びたときとの気分を想像してもらいたい。その違いは誰にでも明らかです。
最近は大企業でも売れるとみればなりふりかまわぬようになってきました。マイナスイオンが「健康によい」という付加価値につながるとみればこぞってその商品にマイナスイオン発生装置を取り付ける。ところが、マイナスイオンの作り方は知っていても、それが何なのか、それが体にどのように作用するのか(あるいはしないのか)、実は企業も知らないのでしょう。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)