怪しい健康情報の見抜き方

日本の薬剤師は薬のプロではあるが、健康食品に関しては・・・。
先日、ある患者さんが「どうも最近口があれる。」といってやってきました。診察しても、これといった問題はなさそうです。彼は、すでに私のところにくる前に薬局に寄り、口のあれについて相談していました。そこではビタミン不足ではないかといわれ、ビタミン剤をすすめられたそうです。彼は、きっとビタミン剤を売り込むためだろうと思い、断ったといいます。ほほう、結構ちゃんと判断できるじゃないかと思ったのもつかの間、何のことはない、その人はもともとビタミン剤を毎日飲んでいたのでした。
私の家の近所にある薬局には、棚にビタミン剤ばかりではなく健康食品が所狭しと並んでいます。私のクリニックに来る患者さんの中には薬局で健康や病気について気軽に相談し、そのたびに健康食品を買ってくる人もいます。
米国での面白い研究があります。
研究者の一人が乳がんの母親を持つ娘に扮して、健康食品店をたずね歩く。そこで、母親のためにはどのような健康食品がよいか店員に相談し、そこで勧められた健康食品を調べた。店員たちの対応は様々である。専門的知識がないからと医療機関を受診することを勧める者もいれば、ここぞとばかりにいろいろな健康食品や民間療法を事細かに説明し、それを売ろうとする店員もいる。その時に使われる言葉、(浄化する)(バランスを整える)(免疫力を高める)(自然、天然)、いずれも日本での健康食品の宣伝で頻繁に使われている言葉です。
米国では健康食品は主に健康食品店で販売されているようです。しかし、そこの店員は必ずしも医学についての専門的な教育を受けているわけではありません。
米国と異なり、日本では健康食品の多くは薬局で販売されています。薬局での健康食品への対応は様々です。特定の健康食品のキャンペーンを行い、積極的に販売活動を行っている薬局もあります。その一方で、健康食品の副作用や薬剤との相互作用についての資料を収集し、適切なアドバイスができるように努めているところもあります。健康ブームに乗ったマスメディアは連日健康関連の情報を垂れ流しています。それに便乗して健康食品を売り込む薬局がよいのか、それとも正確な情報を収集して利用者に提供できる薬局がよいのかは明らかでしょう。
米国では健康食品店で医療に詳しくない人が営利を主目的として販売しているのに対し、日本では健康食品の多くが薬局で医療の専門家である薬剤師により販売されています。これは、日本にとって大変よいことだと思う。今後、健康食品が広まるにつれてアドバイザーとしての薬剤師の役割がより重要となるに違いありません。米国のような問題が起こらぬよう、薬剤ばかりではなく、健康食品についても正確な知識を有し、的確なアドバイスのできる薬剤師が育って欲しいものです。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)