怪しい健康情報の見抜き方

カテキンは体脂肪には効果があるが、体重には・・・。
一般の緑茶飲料よりカテキンを多く含む緑茶が売れているといいます。これは特定保健用食品として「体脂肪が気になる方に」という表示が認められているからでしょう。特定保健用食品として認められるからにはそれなりの臨床データがあるはずです。ただし、この商品を買う人はどの程度の効果を期待しているのでしょうか?
カテキンは従来がん予防の観点からしばしば取り上げられてきました。日本では緑茶をより多く飲む人たちに胃がんが少ないという疫学調査が知られていますが、最近は否定的なデータもあります。
その一方でカテキンは交感神経を刺激し脂肪細胞での脂肪分解を促進する作用があるといわれています。カテキンをより多く摂取すればその作用を際だたせることができるはずだというもの。ただし、カテキンは苦み成分でもあるのでお茶の中のカテキンを増やせば苦くて飲めなくなる可能性もあります。この会社は苦みをマスキングする技術によりカテキンを増量しながら苦味をおさえることができたのだといいます。確かに高い技術として評価して良いのかも知れませんが、そこまでしてカテキンを増やす意味はあるのでしょうか?
実際にカテキンにどの程度の効果があるのか文献を調べてみました。すると、いくつかのランダム化比較試験を見つけることができました。その結果からわかったことは、カテキンによる体重減少効果はきわめてわずかでした。
ただし、体脂肪(ここでは内臓脂肪の変化を示した)は統計学的に有意に減少しました。だから特定保健用食品として認められたのでしょう。
ここで考えなければならないことは、利用する側にとって表に示した「体重は減らさないが統計学的に有意に体脂肪を減らす」というカテキンの効果がどのような意味を持つかです。体重を減らしたいと思っている人にとってはカテキンを摂取することは無意味かもしれない。その一方で、体重が減らなくても体脂肪さえ減ればよいと考えている人にとっては意味があるかもしれません。あるいは、この程度の体脂肪減少効果であれば意味がないと考える人もいるかもしれません。
人によっては、商品価格によってその判断が変わることもあり得るでしょう。
自分にとってカテキンの効果が意味があるのかないのかは具体的なデータに基づかない限り判断できません。ところが、一般の人が得られる情報は「体脂肪が気になる方に」という表示だけです。インターネットで調べても一部のデータしか明らかにされていません。今の段階では研究論文を一般の人が取り寄せることは簡単なことでないし、たとえ論文を読んでも研究結果を正確に把握することはさらに困難でしょう。
これはカテキンに限ったことではありません。特定保健用食品は特定の目的を持って利用するものです。特定保健用食品を利用することが自分にとって意味のあるものかどうかを判断する材料として、企業と独立した第三者が研究データを具体的に解説することが必要ではないでしょうか。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)