怪しい健康情報の見抜き方

運動の前に飲むと効果が得られそうだがケインには必要ないかも・・・。
「ファイトォー、イッパァーツ。」というテレビコマーシャルでおなじみのビタミン飲料の広告では、タウリン1000mg配合というアナウンスが最後に付け加えられています。
このように、医薬品や化粧品の広告では一般の人に馴染みのないカタカナ成分を連呼し、いかにも効果のありそうな印象を植え付けようとします。イブプロフェン、スクラルファートなどの医薬品の成分については、さすがに私でもそれぞれが非ステロイド系消炎鎮痛剤、消化性潰瘍治療薬であることが分かります。しかし、医療関係者でない大部分の人たちにとって、成分名を広告することは意味のないことです。消費者がこれらの成分を調べ上げ、自分にふさわしいかどうかを判断しているとは、宣伝する側も期待してはいないでしょう。消費者にとってはその医薬品の成分が何であろうと、その安全性と効果に関する情報があればよいのです。
ところで、実はタウリンといわれても私にはどうもピンときませんでした。この成分は何のために配合されているのでしょうか?テレビコマーシャルで歯を食いしばって崖を上るお兄さん達にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
タウリンは、骨格筋、心筋、脳細胞などに存在するアミノ酸のひとつです。アミノ酸ではあるが、蛋白を構成する成分ではありません。細胞の中で何らかの働きをしているらしいですが、その生理学的な役割はまだ充分解明されていないようです。ただし、臨床の場ではうっ血性心不全、高ビリルビン血症を呈した肝障害、高コレステロール血症、嚢胞線維症などの治療に応用されています。実際、前2者に対しては日本でも保険適用となっています。ちなみに服用量は1回1グラム1日3回となっています。
前述のドリンク剤の効能の一つとして、肉体疲労時の栄養補給とあります。ということは、タウリンには上記のような効果の他に疲労に対する何らかの効果があるのかもしれません。そこで文献を調べたところ、ヨーロッパで販売されている「Red Bull」というドリンク剤に関する論文が見つかりました。「Red Bull」にはタウリンとカフェインの他各種ビタミン類が含まれており、日本のドリンク剤とその成分は類似しています。ただし、論文の抄録や「Red Bull」のサイトを見た限りでは成分量が分からないので、この論文の結果が日本の商品に当てはまるかどうかはわかりませんが。
ひとつの論文は、運動前にこのドリンク剤を飲むと心臓の機能がよくなるというものであり、もうひとつの論文はこのドリンク剤により精神的によい効果が得られるというものでありました。これらの論文抄録からは運動などをする前に飲むと身体的にも心理的もよい効果が得られそうな気もします。ただし、そのドリンク剤を疲労したときに飲んだ場合、同様の効果が期待できるか分かりません。
ただいえることは、あのコマーシャルに出てくるような元気なお兄さん達にはあえて必要はなさそうだということ、私たちが飲んだとしてもあのお兄さん達のようにたくましくなれるわけではないということです。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)