怪しい健康情報の見抜き方

日本の健康食品のあり方はこのままでよいのだろうか・・・。
米国ではdietary supplementは3兆円ビジネスだといいます。彼らは日本を格好のターゲットと考えていますが、薬事法などが輸入障壁となっていました。米国の圧力もあってか、政府の規制緩和推進計画、市場開放苦情処理推進会の方針に従って、今年の3月厚生省の諮問機関「いわゆる栄養補助食品の取り扱いに関する検討会」は、新たに栄養補助食品というカテゴリーを設け、これに栄養機能や保険用途等の表示を認めるよう提言しました。
ところがこの報告書では、栄養補助食品について「QOLの向上、健康の維持増進としての意義、目的について、積極的に評価すべきである。」と書かれているにもかかわらず、「疾病リスク低減表示については、・・・本検討会で結論を得るには時期尚早」としている。しかも現段階では、いわゆるハーブ類などの栄養成分機能表示でさえ、科学的根拠が不十分であるとして当分認められそうにありません。しばらくは、イチョウ葉エキスのラベルにはたんぱく質?グラムなどという、意味のない表示がされることになりそうです。
消費者が栄養補助食品に求めているもののひとつは、疾患リスクの低減、つまり病気の予防でしょう。このことは、すでにテレビ、雑誌をはじめとしたマスメディアにより数々の栄養補助食品の効能がさかんに喧伝されていることから容易に推測されます(本コラムもそれに貢献してしまっているかもしれません)。いまさら栄養補助食品の表示に頼らなくても、マスメディアが自分にはどんな栄養補助食品がよいのかを教えてくれます。
このままでは、栄養補助食品に表示された内容とマスメディアからの情報とのギャップは余計な混乱を招きかねません。イチョウ葉エキスと表示されていても、製品により全く成分が異なるということもあり得ます。効能を表示する必要がなければ、それを裏付ける成分を保証する必要もないからです。マスメディアでえられた情報は、目の前にある栄養補助食品を選択する上ではまるで役に立ちません。ランダム化比較試験で効果が保証されるものに限り、それに見合った成分を保証する方がよほど消費者にメリットがあります。
米国のdietary supplement産業は毎年2桁の成長を遂げているといいます。2年前米国市場に出回っていたハーブは150種類であったが、やがて500種類に、数年内に1800種類くらいにまでなるだろうと予測する人もいます。しかしこれらハーブの規格が統一されていないこと、副作用の報告義務がないことなどの問題を抱えています。日本が栄養補助食品への対応をひとたび誤れば、米国でのdietary supplementにかかわる問題点をも輸入することになりかねません。米国のdietary supplement産業に日本が飲み込まれてしまう前に、いっそう踏み込んだ規制を設けるべきだと思います。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)