怪しい健康情報の見抜き方


キレル子供の救済を裏付ける根拠はまだ薄い・・・。
最近青少年犯罪が増加傾向にあるといわれます。その原因について識者はいろいろコメントしますが、いずれも推測の域を出ていません。
その中に砂糖有害説なるものがあります。青少年犯罪が増加しているのは、砂糖の取りすぎ、たとえば砂糖入りの清涼飲料水の過剰摂取によるとする説です。砂糖は消化吸収が早い。このため血糖上昇に対しインスリンが過剰分泌される結果、反応性の低血糖を起こし、精神的に不安定になり、犯罪を犯すといいます。しばしば、この説はいろいろな書籍などで見受けられるし、インターネット上で、「子供、キレる、砂糖」というキーワードで検索してみると簡単に砂糖有害説をみつけることができます。
しかし、現実的には普通の青少年が砂糖を摂ったからといって低血糖を起こすわけではありません。「アメリカ医師会がガイドする代替療法の科学的根拠」でも、砂糖有害説に否定的な報告ばかり5報掲載しています。その他の書籍などでもたびたびこの説が否定されているのに、忘れたころにまたこの説を主張する人が現れます。
私は決して砂糖の過剰摂取がよいといっているわけではありません。小児期における砂糖入りの清涼飲料水の摂取は肥満形成に関連するという報告もあります。だから私も小児期の過剰な砂糖摂取は好ましくないと思っています。ただし、砂糖有害説を青少年犯罪までに関連付けてしまうのはどうかと思うのです。
砂糖有害説の他にも、青少年犯罪の原因に関してはいろいろな説が飛び交っています。思いつくだけでも、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)、食品添加物などが原因としてあげられているようです。しかし、どの仮説にもそれを裏付ける科学的なデータは少ないのです。
ところで、私は冒頭で「最近青少年犯罪が増加傾向にある。」と書いたのですが、どうもこれにも根拠が薄いようです。広田照幸氏の指摘によれば、戦後日本における青少年犯罪は一貫して減少傾向にあるといいます。青少年犯罪が起こるたびに、マスメディアが大々的にそして繰り返し取り上げるため、あたかも急増しているような錯覚を受けているだけだといいます。
栄養摂取の重要性を指摘したい、サプリメントの必要性を強調したい、化学物質の危険性を訴えたいなどなど、情報を発信する側はそれぞれの都合で論理を展開します。私たちは彼らの発信する情報に本当に根拠があるのかと問うばかりではなく、単なる仮説を振りかざす彼らの真の意図をも推し量る必要があるでしょう。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)