怪しい健康情報の見抜き方


心疾患予防効果などが否定されてきており、その威光にも陰りが!?
今までは医薬品であったのに、知らない間に健康食品として出回っているものがあります。コエンザイムQ10です。これは、うっ血性心不全の治療薬として日本では以前から使用されていました。しかし、2001年食薬区分の見直しに伴い、医薬品から食品へと変更されました。ただし、医薬品としてのコエンザイムQ10はまだ存続しています。
コエンザイムQ10は、細胞内のミトコンドリアに取り込まれ酵素利用率を上げることにより心臓の機能を改善するとされています。ところが、最近の臨床研究ではコエンザイムQ10をうっ血性心不全患者に投与しても心機能は改善しなかった。米国心臓学会はうっ血性心不全に対してコエンザイムQ10の使用を推奨してはいないとのことです。
健康食品として販売されているコエンザイムQ10は必ずしも心臓の機能を高めるために利用されているわけではありません。これはもともと細胞の中に存在する物質だが、年齢とともに減少する。しかも、抗酸化作用を有することから、インターネット上で、コエンザイムQ10は「人間の元気の源」「活性酸素による害を抑え、健康維持、老化防止、さらに美肌等の美容効果も期待できる。」などと宣伝されています。抗加齢医学が注目されている現在、コエンザイムQ10のもつ抗酸化作用への期待が高まっているのでしょう。しかしながら、私の調べた限りこの抗加齢作用についての十分なエビデンスはありません。抗酸化作用についても、最近のメタアナリシスで抗酸化ビタミンによる心疾患予防効果などが否定されてきており、その威光にも陰りが見えています。
インターネットで調べてみると、健康食品で販売されているコエンザイムQ10の服用量は一日あたり100mg程度です。それに対し医薬品としての服用量は30mgだ。
健康食品からこれを摂ると、医薬品として服用した場合の3倍以上とることになるという、奇妙な現象が起こっています。コエンザイムQ10の医薬品、特に保険薬としての存在意義はいったい何なのでしょうか?
現在薬価収載されている医薬品はあまりに多い。診療ガイドラインが発表されるにつれ、そこからはずれた医薬品もでてきています。胃潰瘍治療ガイドラインにおける防御因子増強薬などはその典型でしょう。この際だから、診療ガイドラインからはずれた医薬品はすべて見直し、薬価収載する医薬品は必要とされるものに絞るべきでしょう。それからはずれた医薬品については、安全性が高ければOTC薬(薬局で売られる薬)や健康食品として残せばよいのではないでしょうか。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)