怪しい健康情報の見抜き方


マスコミや多くの健康食品の宣伝によれば、コラーゲンを摂取すると肌が若々しくなると言います。本当にそうなのでしょうか?コラーゲンは臓器や皮膚などの構造を維持する主なタンパク質であり、体のタンパク質全体の20%を占めています。今までに20種類程度同定されています。コラーゲンを食べるとアミノ酸にまで消化され吸収されます。しかし、これら吸収されたアミノ酸は必ずしも皮膚のコラーゲンに再構成されるとは限りません。そこで、「ビューティーサイエンスの庭」というHPを開いている岡部美代治氏に聞いてみました。
彼によれば、コラーゲンはプロリンやハイドロキシプロリンなどのアミノ酸の比率が高いといった特徴を持つため、アミノ酸比率の同じコラーゲンを合成するのに有効ではないかとのことでした。しかし、これらのアミノ酸は必須アミノ酸ではないため、足らなくなれば自分の体の中で合成することができます。コラーゲン合成が促進されるためには、むしろ原料となるアミノ酸の量ではなく、合成を刺激する誘因が重要ではないでしょうか?かえってコラーゲンは必須アミノ酸の比率が低いため、栄養価が高いとは言い難いのです。また、コラーゲンは体のタンパク質のかなりの部分を占めるため、栄養としてとるためにはある程度の量が必要です。以上より、栄養サプリメントとして摂取する意味は全くないと考えられます。それでは、どうしてコラーゲンが栄養サプリメントとしてもてはやされるようになったのでしょうか?
先日、ある関節リウマチをわずらっている患者さんよりメールをいただきました。コラーゲンを食べると関節リウマチが治るという論文が掲載されているといいます。さっそく調べてみると、2型コラーゲン摂取により関節リウマチが改善したという報告を発見しました。この研究では、60人の患者を2つのグループに分け、それぞれに2型コラーゲンあるいはプラセボを3ヶ月間投与して、関節リウマチの症状の変化をみています。その結果、コラーゲン摂取により、関節の腫張や疼痛が改善したと報告しているのです。
その後も海外で無作為化対照試験が行われており、一部でその有効性が示されていることがわかりました。これは、経口免疫寛容(トレランス)という免疫学の理論に基づいています。経口的に摂取された抗原により、免疫が抑制されるというものである。一部の関節リウマチでは、数あるコラーゲンのうち2型コラーゲンに対する自己免疫が原因の一つと推定されています。このため、2型コラーゲンを経口摂取することにより免疫反応が弱まり、関節リウマチの症状が改善すると考えられているのです。これは消化吸収の過程を経るわけではありません。
岡部氏によれば、化粧品などでは、可溶性コラーゲンは皮膚の保湿成分としては欠かせないものといいます。皮膚に塗るコラーゲンと関節リウマチに対するコラーゲンの効果とがいつの間にか混同され、健康食品会社の広告に「コラーゲンを食べると皮膚が若返る。」と誤認されて使われたのではないだろうか。これが私の提案する「コラーゲン誤認仮説」です。
コンテンツ提供: 小内亨先生(おない内科クリニック)