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ビタミンAとカロチノイド

ビタミンAとカロチノイド

Vitamin A and Carotenoids

【オリジナルテキスト(原文)を読む】


Vitamin A: What is it?( ビタミンAとは何?)ビタミンAとは何?

●Vitamin A: What is it?

ビタミンAは脂溶性ビタミンの一種です。レチノ-ルは、最も即効性があり、あるいは利用可能なビタミンAの形状の一つで、レバーや卵などの動物性食品や一部の強化食品に含まれます。レチノ-ルは、しばしばプレフォームドビタミンA(ビタミンA前駆体)と呼ばれています。レチノ-ルは、レチナル、 レチノイン酸やその他の即効性のある形のビタミンA群に転換できます。(1-4)

一部の植物性食品には、プロビタミンAカロチノイドと呼ばれる濃い色の色素が含まれ、ビタミンAに転換できます。アメリカでは、ビタミンAのうち、男性が摂取する約26パーセント、女性が摂取する約34パーセントは、プロビタミンAカロチノイドから供給されます。(1)βカロチンはプロビタミンAカロチノイドであり、他のカロチノイドよりも効率よくレチノ-ルに転換します。(1-4)例えば、 αカロチンやb-クリプトキサンチンもビタミンAに転換しますが、βカロチンの半分の効率です。(1)

リコピン、ルテイン、ゼアキサンチンも、いろんな食品に含まれるその他のカロチノイドです。それらのカロチノイドは、ビタミンAの供給源ではありませんが、おそらく他の健康増進の特性をもっていると思われます。医学研究所(IOM)は、健康増進のためにカロチノイドが豊富な果物や野菜を摂ることを推奨しています。

ビタミンAは、視覚や骨の成長、生殖機能、細胞分化(細胞が分裂することによって特定の性質を獲得すること)において重要な役割を果たします。(1、5-8)ビタミンAは、目や呼吸器、泌尿器、腸管の表層上皮の維持を助けます。(9) そうした表層上皮が機能しなくなったとき、細菌が体内に入り、感染します。(9)また、ビタミンAは、細菌やウィルスに対する防壁として機能する皮膚や粘膜を正常に保つ助けをします。(10-12)

ビタミンAは、免疫システムを整える助けをします(2、5、13)。

免疫システムは、有害な細菌やウィルスを破壊する白血球を作ることで、感染を防いだり、撃退する助けをします。ビタミンAは、感染を撃退する白血球の一種であるリンパ球がより効率的に機能するのを助けることも考えられています。

一部のカロチノイドは、実験によって、ビタミンAの供給源としてだけではなく、抗酸化剤としての機能があることも明らかになっています。しかし、ヒトの場合には、この機能が常に証明されているわけではありません。(1)

抗酸化剤は、遊離基(ラジカル:不対電子を持つ原子または分子)から細胞を守ります。遊離基とは、酸素代謝による副産物であり、損傷を引き起こす可能性を持つもので、慢性的な病気を発病させることが考えられます。(3,14-16)

 

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What foods provide vitamin A?(どんな食品がビタミンAを供給するの?)どんな食品がビタミンAを供給するの?

●What foods provide vitamin A?

プレフォームドビタミンAは、全卵、全乳(乳牛などから採ったまま脂肪分を抜き取らない全成分を含んだ乳)やレバーなどの動物性食品に含まれます。

アメリカで販売されているほとんどの無脂肪牛乳や脱脂粉乳は、脂肪が除去された時に失われたビタミンAを補うためにビタミンAが強化されたています。(17)

朝食用強化シリアルなどの強化食品も、ビタミンAを含みます。プロビタミンAカロチノイドは、濃い色の果物や野菜に豊富に含まれます。この文書の終りにある表4と5は、動物性食品におけるビタミンAの供給源と植物性食品におけるプロビタミンAカロチノイドの供給源を列挙しています。(18)

ビタミンAは肝臓に蓄えられていますが、ビタミンAやβカロチンを含む食品を規則的に摂取することが大切です。(2)

貯蔵されているビタミンAは、プロビタミンAカロチノイドやプレフォームドビタミンAの摂取量が少ない時に、身体が要求するビタミンAを補う助けをします(19,20)。

 

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What is the Recommended Dietary Allowance for vitamin A for children and adults?(子どもや成人にとってビタミンAの推奨栄養所要量はどれくらい?)子どもや成人にとってビタミンAの推奨栄養所要量はどれくらい?

●What is the Recommended Dietary Allowance for vitamin A for children and adults?

最新のビタミンA推奨栄養所要量については医学研究所が開発した参考栄養摂取量(DRIs)に記載されています。

DRIsは、健康な人の食事をプランニング、評価するために使用される一群の基準値を表す包括的用語です。

推奨栄養所要量(RDA)はそうした基準値の一つで、年齢別、性別におけるほぼ全ての(97-98%)健康な人が必要とする栄養を満たす一日の平均食事摂取量です。(1)

ビタミンAのRDAは、レチノ-ルとプロビタミンAカロチノイドの異なる機能を説明するために、レチノ-ル当量(RAE)として記載してあります。

以下の表では、RDAsは、国際単位(IU-国際的に認められた一定の生物学的効果を引き起こす、抗生物質やビタミンなどの生体物質の特定量)にも記載されています。食品や一部のサプリメントラベルは、ビタミンAの含有量を国際単位(1RAEマイクログラム(ug)=3.3IU)で記載しているからです。

表1:マイクログラム(ug) RAEとIUsによる子どもと大人のビタミンA推奨栄養所要量

表2:マイクログラム(ug)と国際単位(IU)における乳児の適切なビタミンA摂取量

第3回全国衛生および栄養調査(NHANESIII 1988-91)(1,21)と個人別食品摂取に関する継続調査(CSFII 1994)(1,22)の2つの全国調査によれば、一部のアメリカ人の栄養摂取量はビタミンAの推奨レベルに達していません。

この調査は、アメリカ人すべてに毎日の食事にビタミンAの供給源を取り入れるよう促すことが重要であると強調しています。

βカロチンもしくはその他のプロビタミンAカロチノイドの推奨栄養所要量(RDA)はありません。

医学研究所の報告によれば、一日3~6mgのβカロチン摂取であれば、慢性的な病気の危険性を低くすると思われる範囲内でβカロチンの血中濃度は維持されます。(1)

一日あたり5食あるいはそれ以上の回数にわたって濃い緑の葉野菜や濃い黄色やオレンジ色の果物を摂取すれば、βカロチンの推奨摂取量は満たされるはずです。

 

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When can vitamin A deficiency occur?(どんな時にビタミンAの欠乏がおこるの?)どんな時にビタミンAの欠乏がおこるの?

●When can vitamin A deficiency occur?

アメリカにおいては、ビタミンA欠乏症はめったに発生しませんが、開発途上国では依然として公衆衛生上の大きな問題になっています。少なくとも300万人の子どもたちが、目の角膜を損傷する眼球乾燥症に罹り、25万~50万人が、毎年ビタミンAの欠乏から盲目になっています。(1)こうした子どもたちのほとんどは、開発途上国に住んでいます。夜盲症は、ビタミンA欠乏の最初の兆候です。古代エジプトでは、夜盲症はレバーを食べれば治ることがあると知られていました。後に、レバーはビタミンAの豊富な供給源であることがわかっています。(2)

ビタミンAの欠乏によって角膜が非常に乾燥し、網膜や角膜への損傷を促して、盲目を引き起こします。ビタミンAの欠乏は、感染を撃退する力を低下させます。予防接種が普及しておらず、かつビタミンAの欠乏が多く見られる国々では、毎年、何百万という子どもたちが、はしかなどの感染による合併症で死亡しています。(9)

十分なビタミンAがないと、肺の内壁の細胞が病気の原因となる微生物を除去する力を失います。これが、ビタミンAの欠乏が肺炎を引き起こすと考える理由です。(2、10、11)不顕性ビタミンA欠乏症に関心が高まっています。これは低いビタミンAの貯蔵レベルとして表現され、欠乏症状ははっきりとでません。この軽度のビタミンA欠乏は、子どもたちの呼吸器官や下痢症状の感染を引き起こす危険性を高め、成長や骨の発育を遅らせ、重い病気から回復する可能性を低くすることが考えられます。(8、23、24、25)

不顕性ビタミンA欠乏症の危険性が増加していると考えられるアメリカの子どもたちとは:

  • 乳幼児と未就学児童
  • 貧困または貧困以下で暮す子どもたち
  • 健康管理または予防摂取が不十分な子どもたち
  • 栄養不足で知られている地域に住む子どもたち

最近、ビタミンAの欠乏あるいははしかの発生率が高い開発途上国からきた移民あるいは難民。すい臓、肝臓、腸の病気を持つか、あるいは脂肪の消化・吸収が不十分な子どもたち(9)

ビタミンAの欠乏は、慢性的な下痢や全体的に栄養が不充分な時にビタミンAが失われることで起こります。しばしばタンパク質やカロリーの栄養不足のときにも見られます。レチノ-ルの血中濃度の低さは、ビタミンAが激変したことを示します。これは、ビタミンAの欠乏によって起こりますが、たんぱく質やカロリー、亜鉛の摂取が不十分なことからも起こります。これらの栄養素は、レチノール結合蛋白(RBP)を作るために必要なものです。RBPは、肝臓からビタミンAを動員し、ビタミンAを身体の循環器官に運ぶために不可欠なものです。(1)

鉄分の欠乏もまた、ビタミンAの代謝を制限します。そして、鉄分が欠乏している人のための鉄分サプリメントは、鉄分とともにビタミンAの栄養状態を改善することがあります。(1)

過剰なアルコール摂取は、ビタミンAの貯蔵を激変させます。また、アルコール分が高い食事は、通常、ビタミンAの推奨栄養所要量を供給しません。過剰にアルコールを摂取する人は、十分なビタミンAの供給源を食事に取り入れることが大切です。しかし、飲酒癖のある人には、ビタミンAの補給は奨励できません。過剰なビタミンAの摂取と関係のある肝毒性を、アルコールが高める可能性があるからです。(1,26)

医者は患者のこうした状況を判断し、ビタミンAの補給が必要かどうかを決めるべきでしょう。

 

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Who may need extra vitamin A to prevent a deficiency?(ビタミンAの欠乏を防ぐためには、どういう人がもっとビタミンAが必要なの?)ビタミンAの欠乏を防ぐためには、どういう人がもっとビタミンAが必要なの?

●Who may need extra vitamin A to prevent a deficiency?

ビタミンA欠乏症は、アメリカではめったに発症しません。しかし、世界保健機構(WHO)と国連児童基金(UNICEF)は、ビタミンAと子どもの健康に関する共同声明を発表しました。両機関は、ビタミンA欠乏症が深刻な問題になっている地域や、はしかによる死亡が1パーセント以上の社会では、はしかと診断された全ての子どもたちにビタミンAの投与が望ましいとしています。1994年、アメリカ小児科学会は、不顕性ビタミンA欠乏症の危険性が高いと思われる子どもたちの2つのサブグループにビタミンAの補給を奨励しました。この2つのサブグループは、はしかで入院していた6~24ヶ月の子どもたちと、入院経験のある6ヶ月以上の子どもたちです。(27)

脂肪吸収不良は下痢を引き起こし、ビタミンAの正常な吸収を妨げます。この症状は、嚢胞(のうほう)性線維症(すい臓、肺などに嚢胞ができ、粘液が溜まり、繊維化が起こる遺伝的慢性病)、スプルー(主に熱帯地方に起こる慢性疾患)の患者、また、胃腸の手術後にみられます。

健康な成人は、通常、肝臓にビタミンAを蓄えているので、一時的なあるいは短期的な脂肪吸収不良によるビタミンA欠乏の危険性はありません。長期にわたる脂肪吸収不良により、ビタミンAが欠乏する可能性があります。この場合、医師は、ビタミンAの補給を勧めることがあります。(9)卵や乳製品を摂らない菜食主義者は、必要なビタミンAを摂取するには、プロビタミンAカロチノイドを多量に必要とします。(1)菜食主義者は、推奨所要量のビタミンAを摂るためには、毎日最低5食分の果物や野菜を摂り、定期的に濃緑色の葉菜とオレンジや黄色の果物を摂ることが大切です。

 

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What is the association between vitamin A, beta carotene and cancer?(ビタミンAとβカロチン、癌には、どんな関係があるの?)ビタミンAとβカロチン、癌には、どんな関係があるの?

●What is the association between vitamin A, beta carotene and cancer?

調査によれば、βカロチンやビタミンAの豊富な食事と、ある種の癌の発症が低下することには、関連性があると示唆しています。緑黄野菜やその他のβカロチンと/もしくはビタミンAを含む食品を多く摂取すると、肺癌の危険性を低下させるという事実があります。(29)しかし、癌予防におけるβカロチン投与の役割をテストしたいくつかの研究では、投与が癌を予防するという結果は出ませんでした。(30)

29,000人の男性を対象にした研究では、 毎日βカロチンのサプリメントを摂っていた喫煙者グループに肺癌の発症がより多く見られました。(31)カロチンとレチノール効能試験は、無作為に選ばれた被験者にβカロチンとビタミンAを投与する肺癌化学予防試験です。この試験は、途中で中断されました。βカロチンを投与された被験者が、投与されなかった被験者より46パーセントも肺癌で死亡する確率が高かったことを研究者が発見したからです。(32)医学研究所(IOM)は、「βカロチンサプリメントは、普通の人には勧められません」と明言しています。しかし、このアドバイスは、「ビタミンA の栄養素が十分ではない人たちが、ビタミンA欠乏症を防ぐために、プロビタミンAの供給源としてβカロチンを補給することとは無関係です」とも述べています。(1)

 

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Can an excess intake of vitamin A promote osteoporosis?(過剰なビタミンA摂取は、骨粗しょう症を促す可能性がある?)過剰なビタミンA摂取は、骨粗しょう症を促す可能性がある?

●Can an excess intake of vitamin A promote osteoporosis?

骨粗しょう症は、骨が多孔になりもろくなるという特徴があります。1000万人以上のアメリカ人(そのうちの80%が女性)が罹っており、深刻な公衆衛生上の問題になっています。 この他1,800万人のアメリカ人は、骨の密度が減少しています。これは、骨粗しょう症になる前の症状です。

研究者たちは、骨粗しょう症になる危険性を高める多くの要因を確認しています。その要因とは、女性であること、痩せていること、活動的でないこと、高齢であること、また家族に骨粗しょう症になった者がいることなどです。カルシウムの摂取不足や、喫煙、アルコールの過剰摂取も、骨粗しょう症の発症の危険性を高めます。研究者たちは、骨粗しょう症を発症する可能性のある新しい危険因子、過剰なビタミンAの摂取について調査中です。

動物、ヒト、実験室での研究から、ビタミンAの多めの摂取ともろくなった骨の関連性が示唆されています。(33,34)また、研究者たちは、世界的に見ると、北ヨーロッパで骨粗しょう症の発症が最も高いことに気づきました。この地域の人々は、ビタミンAの摂取が多いのです。(35)しかし、この地域の人々はビタミンDの生合成が減少しており、これは日光にさらされる度合いの低さと関連があると思われます。そのため、こうした点も、骨粗しょう症が多い一因になっている可能性があります。

スウェーデンの健康な人9人を対象にしたある小研究によると、一食分のレバーに含まれるビタミンAの量は、カルシウムの吸収を促進するビタミンDの機能を弱める可能性があることがわかりました。(36)ビタミンAの過剰摂取と大腿骨頸部骨折の高い危険性との関連をさらに調査するため、スウェーデンの研究者たちは、初めて大腿骨頸部を骨折した250人の女性と同年齢の875人の対照群を対象に骨のミネラルの密度とレチノ-ルの摂取を比較しました。
その結果、一日当り1,500mcg以上(女性に推奨されるレチノ-ル摂取量の2倍以上)のレチノール摂取は、一日当り500mcg以下を摂取する女性と比較して、骨のミネラルの密度が減少しており、大腿骨頸部骨折の危険性が高まったことと関連があるとわかりました。(37)

この問題は、看護衛生研究の研究者も調査しました。彼らは、72,000人以上の閉経後の女性におけるビタミンA摂取と大腿骨頸部骨折の関連に注目しました。
この研究では、食品やサプリメントのビタミンAを最も多い量(レチノ-ル値で一日3,000mcgかまたはそれ以上、これは成人の男女の推奨摂取量の3倍以上に相当)摂取する女性は、最も少ない量(レチノ-ル値で一日当り1,250mcg以下)を摂取する女性と比べて、大腿骨頸部骨折の危険性が明らかに高かったのです。
こうした副作用は、エストロゲンの使用で減少しましたが、依然として高いビタミンAの摂取のもつ副作用について疑問を提起しています。

特に、プレフォームドビタミンAあるいはレチノ-ルの副作用について問題を提起しています。なぜなら、一日当り2,000mcg以上のレチノ-ルの摂取は、500mcg以下のレチノ-ル摂取と比べて、大腿骨頸部骨折の危険性が増加したことと関連付けられているからです。(38)

2,000人以上のスウェーデンの男性を対象にした長期にわたる最近の研究では、男性の大腿骨頸部骨折の危険性を評価するために、レチノ-ルの血中濃度を初めて測定しました。
研究者たちによれば、骨折の危険性は、血清のレチノ-ル値が75.62mcg/デシリットル以上の男性たちが最大でした。
この骨折の危険性は、血清レチノ-ル値が高い男性たちにおいてさらに増加しました。レチノ-ル値が103.12mcg/デシリットル以上の男性たちは、これより低い血清レチノ-ル値の男性たちの骨折の危険性を、7倍も上回りました。
ビタミンAの高い摂取は、必ずしも高い血清レチノ-ル値と一致しません。レチノ-ル値は、ビタミンAの摂取のほかに、年令や性別、ホルモン、遺伝子など他の要素によって規定されるからです。
しかし、血清βカロチン値は、骨折の危険性とは関連がありません。

研究者たちの発見は(試験管内実験や疫学的食事研究、動物実験の結果と一致する)、ビタミンAの摂取が上限を超えるか、あるいは推奨栄養所要量の約2倍である場合、骨に損傷を与える潜在的な危険性があり、さらなる調査が必要であることを示唆しています。

ビタミンDは、骨粗しょう症の一因になる可能性がありますが、調査されませんでした。骨折の危険性に対するレチノ-ルの影響と共に、ビタミンDやカルシウムを調査する補足的臨床研究が必要と思われます。(39)

一方、疾病対策センターは、骨のミネラル密度と、ビタミンAの一種であるレチニ-ルエステルの空腹時の血中濃度に関連性があるかどうかを調べるため、1988-1994年の第3次全国衛生栄養調査(NHANES III)のデーターを再評価しました。

5,800人の被験者におけるレチニ-ルエステルの血中濃度は、通常の範囲であり、骨のミネラル密度とレチニ-ルエステルの血中濃度の間に重要な関連性は見られませんでした。

補足的な研究により、ビタミンAの高い摂取と骨粗しょう症の関連性を明らかにする必要があります。

βカロチンの摂取、特に果物や野菜(多くの果物や野菜はもともとβカロチンが高い)からβカロチン摂取することと、骨粗しょう症の危険性の増大との関係を証明するものはありません。

最近の証明によると、レチノ-ルとしてビタミンAだけとの関連性の可能性が指摘されています。

自分が摂取しているビタミンAと骨粗しょう症の危険性について疑問があれば、自分の医師あるいは訓練を受けた医療関係者とこの情報について話し合い、自分の健康にとって最良のものは何かを判断することをお勧めします。

 

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What is the health risk of too much vitamin A?<br>(ビタミンAを過剰に摂取すれば、健康上、どんな危険性があるの?)ビタミンAを過剰に摂取すれば、健康上、どんな危険性があるの?

●What is the health risk of too much vitamin A?

ビタミンA過剰症とは、体内に高いレベルのビタミンAを蓄積し、中毒症状に至らしめることです。ビタミンA過剰症には、次のような3つの主要な副作用があります。

  • 先天性欠損症(心室中隔欠損症、ダウン症候群など)
  • 肝臓異常
  • 骨粗しょう症に至る骨のミネラル密度の減少

中毒症状は、短期間に非常に多量のプレフォームドビタミンAを摂取した後にも見られます。

急性中毒症状としては、吐き気や嘔吐、頭痛、めまい、かすみ目、筋肉のギクシャクした動きなどがあります。(1、7‐9、41、42)

ビタミンA過剰症は、多量のレバーを定期的に摂取した時にも起こりますが、ほとんどのビタミンA中毒は、ビタミンAサプリメントの過剰摂取の結果です。

医学研究所は、健康な人に適用されるサプリメントによるビタミンA摂取の一日の許容上限レベル(UL)を設定しました。(1)

ULは、ビタミンA中毒になる危険性を防ぐのに役立てるために設定されました。

ULよりも摂取量が多くなった場合、健康への悪影響の危険性が高まります。ULは、欠乏防止の方法として、定期的にビタミンAを摂取したり、あるいは強化プログラムを通して摂取している栄養不良の人には適用されません。

また、網膜色素変性症などの病気で医師からビタミンAによる治療を受けている人にも、適用されません。

表3:乳児、子供、成人に対するマイクログラム(ug)と国際単位(IU)によるプリフォームドビタミンAの許容上限レベル

レチノイドは、ビタミンAに似た化学記号を持った物質です。

過去15年間、合成レチノイドは、にきびや乾癬(かんせん)、その他の皮膚疾患に処方されてきました。(43)イソトレチノイン(商品名RoaccutaneRあるいはAccutaneR)は、にきびに対する効果的な治療法と考えられています。

しかし、多量の投与は毒性を引き起こすため、この治療は、通常もっとも深刻なにきびにしか適用されません。(44-46)

この治療のもっとも深刻な副作用は、先天性欠損症です。

この治療を受ける女性で妊娠の可能性がある人は、効果的な避妊方法を利用することが非常に重要です。

出産可能な年齢の女性でこれらの治療を受ける人は、毎月妊娠テストを受けて、妊娠していないことを確認することをお勧めします。

 

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What is the health risk of too many carotenoids?(過剰にカロチノイドを摂取すれば、健康面でどんな危険があるの?)過剰にカロチノイドを摂取すれば、健康面でどんな危険があるの?

●What is the health risk of too many carotenoids?

従来から、栄養剤中毒とは、特定のビタミンやミネラルの高い摂取が引き起こす健康に対する副作用のことです。

例えば、即効性のある、あるいはプレフォームドビタミンA(肝臓などの動物性食品にもともと含まれていますが、サプリメントでも摂取可能)の多量の摂取は、先天性欠損症を引き起こす可能性があります。

βカロチンのようなプロビタミンAカロチノイドは、従来から特定の副作用と関連づけられていないことから、一般に安全だと考えられています。

ビタミンAの体内貯蔵が満たされている時、プロビタミンAカロチノイドからビタミンAへの転換は減少し、ビタミンAの貯蔵レベルがそれ以上増加することは自然に制限されます。

プロビタミンAカロチノイドの高い摂取により、皮膚が黄変する可能性がありますが、健康に害を及ぼすとはみなされません。

最近の臨床試験は、βカロチンサプリメントと喫煙を習慣にしている人の肺癌発症と死亡の可能性を関係づけました。そのため、βカロチンサプリメントが長期的に健康に及ぼす影響に対する関心が起きています。

しかしながら、それとは異なった研究結果もあり、健康への影響を説明することは難しくなっています。

たとえば、医師の衛生研究会では、22,000人以上の男性医師が2日に一度50mgのβカロチンを摂取した場合とプラセボ(偽薬)を摂取した場合の影響を比較しましたが、副作用は認められませんでした。(47)

また、中国では、男女3万人を対象に食道および胃癌の発症を阻害するため4つの異なる栄養剤を配合し、その効力をテストしました。5年後、βカロチン、セレニウム、ビタミンEを配合したものを摂取した参加者における癌による死亡率は、13パーセント減少したことがわかりました。(48)

考慮すべき点に、アルコールとβカロチンには関連性があるかもしれないということがあります。肺癌試験で、「一日当り11g以上(一日約一杯)のアルコールを摂取した男性だけが、βカロチンの投与に副作用の症状を見せているからです」。(1)

医学研究所は、カロチンやカロチノイドのULを設定しませんでした。

そのかわり、βカロチンのサプリメントは、一般的な人々には勧められないと結論づけています。しかし、前にも述べたように、特定の人々にとってのプロビタミンAの供給源として、あるいはビタミンA欠乏症を防ぐためにβカロチンを摂取することは適切かもしれません。

 

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(精選されたビタミンAの供給源)精選されたビタミンAの供給源

●Selected Food Sources of Vitamin A

2000年アメリカ人のための食事ガイドラインが次のように述べています。「食品には、それぞれ異なった栄養が含まれています。必要とする栄養が全て含まれているような食品は、1つとしてありません」。(49)

次の表は、ビタミンAとプロビタミンAカロチノイドの供給源となるさまざまな食品を列挙しています。

表が示すように、肝臓、卵、全乳(乳牛などから採ったまま、脂肪分を抜き取らない全成分を含んだ乳)は、良質の動物性ビタミンAの供給源です。

多くの柑橘類や緑黄野菜は、良質のプロビタミンAカロチノイドの供給源です。これらの食品を毎日の食事に摂り入れることで、一日に必要なビタミンAを摂取するのに役立つでしょう。

さらに、食品メーカーは、多くの食品をビタミンAで強化しています。

朝食用のシリアル、ペーストリー、パン、クラッカー、穀物バーやその他の食品は、ビタミンAの一日の摂取量の10-15%を強化していることがあります。

健康な食事作りのためのさらなる情報が必要な場合、アメリカ人のための食事指針(49)や食品ガイドピラミッド(50)を参考にしてください。

表4:精選されたビタミンAの動物性食品源

表5:精選された(βカロチンからの)ビタミンAの植物性供給源

 

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鈴木教授の一口コメント

ビタミンAは通常の食生活をしていれば不足することはまずないといわれています。本文にも記載があるように、サプリメントを摂るうえで気をつけなければならないのは ビタミンAの過剰症です。

妊娠前後にビタミンAを多く摂りすぎると奇形児を出産する可能性が指摘されています。したがって、妊娠3ヶ月以内又は妊娠を希望する婦人はビタミンA摂取に注意が必要です。

外国では、妊娠前3ヶ月から妊娠初期3ヶ月までにビタミンAを10,000IU/日以上摂取した女性から出生した児に、頭蓋神経堤などを中心とする奇形発現の増加が推定されたとする疫学調査結果が報告されています〔Rothman KJ et al. Teratogenicity of high vitamin A intake. N Engl J Med.1995 333(21):1369-73.〕。

妊娠前後は医師の指示下にビタミンA投与は5,000IU/日未満に留めるなど注意が必要でしょう。


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