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メラトニン

メラトニン[丸剤や薬用パッチ、注射によるホルモン投与は、加齢を防ぐ?

Melatonin[Pills, Patches, and Shots:Can Hormones Prevent Aging?

【オリジナルテキスト(原文)を読む】


We could not survive without hormones.( 人間は、ホルモンなしでは生き延びられそうにありません。)人間は、ホルモンなしでは生き延びられそうにありません。

●We could not survive without hormones.

ホルモンは、全身のいたるところで作られ、最も重要な化学伝達物質の一つです。ホルモンは、いつ何時も、頭からつま先にいたる細胞に、普通のことから特別なことまで多岐にわたる仕事をするように指令を出しています。

ホルモンには多くの役割があり、その中には、体温や血圧、血糖値の調節を助ける働きも含まれます。小さい子供たちにとって、ホルモンは成長を助ける役割を担います。10代の子供たちにとって、ホルモンは、思春期を引き起こす原動力になります。しかし、中年や壮年期においていくつかのホルモンが自然に減少することで、加齢プロセスにどんな影響を及ぼすかはわかっていません。ホルモンサプリメントの支持者の中には、そうしたサプリメントは、加齢プロセスを都合よく変えてくれると信じて、ホルモンサプリメント使用の普及を擁護している人もいますが、この仮説を支持する科学的な根拠は、ほとんどが不完全です。

10年以上に渡って、米国政府機関である国立衛生研究所の部門の1つ、国立加齢研究所(NIA)は、ホルモンやそれに似た成分の補充の研究を支援したり、実施して、そうした成分が高齢者の脆弱性を減らしたり、機能の向上を助けることができるか調べています。このような研究は、高齢になると減少することがわかっているホルモンに焦点を当てています。

  • デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
  • 成長ホルモン
  • メラトニン
  • テストステロン
  • エストロゲンなど更年期ホルモン治療に使用されるホルモン

こうしたNIA支援の研究や他のリサーチプロジェクトの結果から、ホルモン補充の利点と欠点について、理解を深めることができるでしょう。こうした研究の結果が整理、分析されて、科学者の間の合意が得られるまで、加齢のプロセスや加齢に伴う病気に影響を与える目的で、補充的なホルモンやホルモンに似た成分の使用を奨められても、疑ってかかったほうがいいでしょう。

たとえば、どのくらいが多すぎて、どのくらいが少なすぎるのか、また、ホルモンサプリメントは、いつ摂取すべきか、もしくは摂取すべきものなのか、まだわかっていないのです。この概況報告書は、ホルモンについてこれまでにわかっていること、また、もっと理解するために研究者たちは何をしているかといった情報を提供しています。

 

What Is A Hormone?(ホルモンとは?)ホルモンとは?

●What Is A Hormone?

ホルモンは強力な化学物質で、身体が正常に機能するように助けています。

ホルモンという言葉は、ギリシャ語のhormoから来ており、始動させるという意味があります。それは、まさしくホルモンが体内で行っていることです。

ホルモンは、さまざまな組織や臓器の機能を刺激したり、調整、管理します。ホルモンは、腺と呼ばれる器官内にある特殊な細胞群によって作られ、有性生殖や成長、代謝、免疫機能などほとんどあらゆる生化学的プロセスに関わっています。こうした腺には、脳下垂体、甲状腺、副腎、卵巣、精巣などがあり、必要に応じてさまざまなホルモンを体内に放出します。

血液や骨のカルシウムレベルを整える助けをする副甲状腺のようなホルモンは、実は、加齢の自然な現象として増加し、骨粗しょう症につながる骨の損失に関わっている可能性があります。

しかし、男性におけるテストステロンや女性におけるエストロゲンなどいくつかのホルモンは、歳とともに減少する傾向にあります。

他のケースとして、年齢に関係なく罹る病気や障害のせいで、身体が十分なホルモンを生成できないこともあります。この場合、丸薬や注射、局所(擦り込み)ゲル、薬用スキンパッチなどのホルモン補充が処方されるかもしれません。ホルモンサプリメントを摂取すると、若返ったり、加齢を遅らせたり、防ぐことができるという宣伝文句は、科学的に証明されていませんが、ここ数年、「最新の」ニュースネタになっています。現実には、こうしたホルモンが高齢者の脆弱性を防いだり、寿命を延ばしたと証明した人はいません。

また、いくつかのサプリメントは、特定の真性ホルモン欠乏症の人には効果がありますが、危険な副作用を引き起こす可能性もあります。いずれにしても、ホルモン欠乏症と診断された人は、医師の指示がある場合のみホルモンサプリメントを摂取すべきです。(※多く摂取するのが、必ずしもいいとは限りません。)

適切なホルモンバランスは、身体を健康に保つ助けをしますが、量を間違えれば、身体に害を及ぼします。

 

Heed The Warnings(留意事項)留意事項

●Heed The Warnings

ホルモンに似た商品が処方箋なしで手に入り、医師に相談することなく使用できることを、NIAは承知しています。NIAは、いくつかの理由から、こうした商品を自己治療に使用しないようアドバイスしています。まず、こうした商品は、「サプリメント」として販売されているため、薬品のように連邦食品医薬品局(FDA)による規制がありません。こうした区分は、サプリメントをマーケティングするさいに必要な条件が、薬品として市場に売り出すホルモンに適用される条件とは、非常に異なっていることを意味します。

また、製薬会社と違って、サプリメントを販売する会社は、FDAによる自社商品の承認を必要とせず、また、市場に売り出す前に商品が安全で効果があるかどうかを証明する必要もありません。それに、容器の中の物質が本物かどうか、あるいは指示されている量が正確かどうかを示す特定の保証もないのです。このように基準が異なっているため、サプリメントとして売られているホルモンに似た成分は、薬剤の場合のように徹底した研究が実施されていない可能性があります。したがって、サプリメント使用後の考えられうる効果については、よく理解されていないか、知られていません。

さらに、こうした処方箋なしの商品は、自分が摂取している他の薬剤の効果を妨げるかもしれません。

したがって、NIAは、「アンチエイジング(抗老化)」治療薬として盛んに宣伝されているDHEAやメラトニンを含む一切のサプリメントの摂取を推奨していません。アンチエイジングに効果があると証明されたサプリメントは、1つもないからです。

こうしたサプリメントが健康にもたらす影響は、特に長期にわたって摂取する場合は、わかっていません。

どんな形状のホルモンサプリメントに興味がある場合でも、医師に相談してください。

実際、この概況報告書を医師に見せれば、自分が心配していることを説明しやすくなるかもしれません。

 

How Hormones Work (ホルモンの働き)ホルモンの働き

●How Hormones Work

ほとんどのホルモンは、非常に低い濃度で血液中を流れています。

それぞれのホルモン分子は、自分に適合する受容体をもった細胞にいきつくまで、血液の中を移動します。それから、ホルモン分子は受容体と結合して、細胞に信号を送ります。

この信号は、細胞に対して、増殖したり、タンパク質や酵素を産生したり、他の重要な働きをするように指令を出すと思われます。いくつかのホルモンは、細胞を刺激して他のホルモンを放出させることさえできます。しかし、全ての細胞に同じやり方で影響を及ぼすホルモンは1つもありません。

たとえば、あるホルモンは、ある細胞を刺激してある作業をさせる一方で、他の細胞に全く違った影響を及ぼすことができます。また、ホルモンによる刺激に対する細胞の反応は、細胞によってはその寿命を通じて変化すると思われます。

ホルモンサプリメントは、特に医師の指示なく摂取した場合は、この複雑なシステムに不利な影響を及ぼす可能性があります。たとえば、このようなサプリメントは、自然に産生されたホルモンと同じような働きをしないかもしれません。なぜなら、サプリメントは、違ったやり方で体内に取りこまれる可能性があるからです。

さらに、自然のホルモンの産生量は一定でないため、循環している血液中のホルモン濃度は、24時間で大いに異なります。ホルモンサプリメントは、こうした濃度の変化を真似することはできません。その結果、丸薬やジェル、スキンパッチ、注射のいずれのサプリメントも、多量に摂取すれば、健康に害を及ぼすほど過剰な量のホルモンを血液中に存在させることになる可能性があります。また、ホルモンサプリメントは、体内で自然に産生されたホルモンが引き起こす副作用を強めるかもしれません。

最後に、体内で起こっているほとんどのプロセスは、しっかり管理、調整されているため、過度の刺激が加わると、自然にホルモンの働きが抑制されるかもしれません。身体のもつチェックやバランスシステムは複雑であり、ホルモンサプリメントが機能を改善するという考え方は、あまりに単純かもしれません。

 

DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)デヒドロエピアンドロステロン

●DHEA

デヒドロエピアンドロステロンもしくはDHEAは、それぞれの腎臓の上にある副腎によってコレステロールから生成されまます。このホルモンの生成は、20代の半ばで最大になり、ほとんどの人は、年齢とともに徐々に減少します。この減少の意味や加齢プロセスに与える影響は、仮にあるとしても、はっきりしていません。実際、科学者にとってDHEAは謎の部分が多く、体内でどんな働きをするのか十分に解明されていません。

しかし、身体がDHEAを2つのホルモンに転化することはわかっています。その2つのホルモンとは、身体にさまざまな影響をもたらすことで知られるエストロゲンとテストステロンです。(下記を参照)

DHEAのサプリメントは処方箋なしで購入でき、“アンチエイジング治療薬”として販売されています。この商品を推薦する人の中には、DHEAサプリメントはエネルギーや体力、免疫力を高めると主張する人がいます。

また、DHEAは、筋肉を増やし、脂肪を減らすと言われています。今のところ、DHEAサプリメントにこうした働きがあることを常に示している証明はありませんし、“若返り”ホルモンとしてDHEAの使用を支持する科学的な根拠は、ほとんどありません。長期的な(一年にわたる)DHEAサプリメントの効果は、まだ、研究されていません。しかし、たとえ短期間の摂取でも、肝臓への損傷など身体に害をもたらす可能性を示す早期の徴候が見られます。

さらに、人によっては、DHEAから他の人より多くのエストロゲンやテストステロンを作ります。多く作る人や少なく作る人を予測することはできません。研究者は、DHEAサプリメント摂取によって、エストロゲンやテストステロンのレベルが高くなる可能性のある人がいることを懸念しています。こうした懸念は、無視できません。なぜなら、テストステロンは前立腺癌に関わっている可能性があり、また、高めのエストロゲンレベルは、乳癌になるリスクの増加と関連付けられているからです。

しかし、エストロゲンやテストステロンのサプリメント、あるいはDHEAのサプリメントも、こうしたタイプの癌になるリスクを高めるかどうかは、まだ確実にはわかっていません。女性は、テストステロンレベルが高いと、にきびや顔のうぶ毛が濃くなる可能性があります。

全体として、これまでに実施された研究では、DHEAのリスクや効果についての明確な説明はされていません。たとえば、高齢者についての研究では、DHEAが筋肉を作る助けをすることを示している研究もあれば、示していない研究もあります。研究者は、加齢や筋肉、免疫システムに及ぼすDHEAの効果について、確実な答えを見つけようと作業を進めています。その間、このホルモンのサプリメントの摂取を考えている人は、その影響が十分にわかっていないことを理解する必要があります。

まだ解明されていない影響には、有害なものもあるかもしれません。

 

Growth Hormone(成長ホルモン)成長ホルモン

●Growth Hormone

ヒト成長ホルモン(hGH)は、下垂体と呼ばれる脳の中央にあるエンドウ豆大の器官によって作られ、正常な発達や組織や臓器の維持に重要です。特に、子供の正常な成長に重要です。

研究によると、補充的ヒト成長ホルモンの注射は、特定の人に有益であることがわかっています。 時に、非常に身長の低い子供がいます。原因は、身体が十分なヒト成長ホルモンを作っていないからです。そうした子供がこのホルモン注射を投与されると、身長は伸びます。

たとえば、下垂体腫瘍の手術で下垂体を切除した若い成人は、このホルモンを作ることができず、肥満になります。そうした成人がヒト成長ホルモンを投与されると、体重は減ります。

他のホルモンと同じように、ヒト成長ホルモンの血中濃度は年齢とともに低くなりますが、必ずしも悪いことではありません。 少なくとも、ある疫学調査によると、ヒト成長ホルモンのレベルが高い人は、低いレベルの人より、若くして死亡する傾向があることがわかっています。また、成長ホルモンの産生や分泌を抑制する遺伝的な障害を持った動物を対象にした実験も、成長ホルモン分泌の減少で、いくつかの種は寿命が伸びた可能性があると示唆しています。

ヒト成長ホルモンが、加齢を防ぐことができるという決定的な証拠はありません。しかし、サプリメントに多額のお金を使っている人がいます。中には、こうしたサプリメントは、筋肉を増強し、脂肪を減らし、スタミナを増進させ、幸福感を高めると主張する人もいます。

注射は、身体に補充的ヒト成長ホルモンを最大活用させると唯一証明されている方法です。しかし、年間15,000ドル以上かかります。注射は、処方箋がなければ手に入らず、また、医師によって投与されなくてはいけません。

ヒト成長ホルモンリリーサーとして知られるサプリメントが、ヒト成長ホルモン注射に代わる低価格の代替商品として市場に出ています。しかし、こうした処方箋なしで手に入る商品が加齢プロセスを遅らせるという宣伝文句が正しいとは、立証されていません。

補充的ヒト成長ホルモン投与が、筋量を増加させることを示す研究もありますが、筋力や筋肉の機能には何の影響も与えていないようです。

科学者は、引き続きヒト成長ホルモンを研究していますが、このホルモンは高齢の成人には深刻な副作用をもたらす可能性があるため、非常に注意深く被験者を観察しています。そうした副作用としては、糖尿病や皮膚や他の組織内に体液が溜まることなどが含まれ、このような症状は、高血圧や心臓麻痺につながる可能性があります。また、関節の痛みや手根管症候群(過剰使用で手首の正中神経への圧迫によって、手首や手に疼痛や筋力低下を起こす病気)を引き起こす可能性もあります。

最近の報告によると、ヒト脳下垂体成長ホルモンを使った子供の治療は、癌になるリスクを高めることがわかっています。これは、懸念されるべきことです。この問題に関するさらなる研究が必要です。長期にわたってヒト成長ホルモン治療を受けた高齢者が、癌になるリスクが高いかどうかは、わかっていません。

今のところ、ヒト成長ホルモンのサプリメントが、この成分の深刻な欠乏症に罹っていない人の健康を改善するだろうという説得力のある証拠はありません。

 

Melatonin(メラトニン)メラトニン

●Melatonin

このホルモンは、脳内の松果体という器官で作られます。

メラトニンの分泌量は、年齢とともに減少すると主張する人もいますが、必ずしもそうとは限りません。その代わり、年齢に関わらず、多くの要因がメラトニン分泌に影響を与えます。例として、大勢の人が試していたり、投与量の少ない薬物治療が考えられます。

メラトニンサプリメントは、処方箋なしで購入できます。 メラトニンは、アンチエイジングの治療薬になったり、睡眠治療薬や抗酸化剤になると主張する人がいます。(抗酸化剤は、フリーラジカルから身体を守ります。フリーラジカルは、酸素に関係した分子で、体内で自然に発生し、身体を傷つけます)

初期の試験管内実験では、メラトニンの多量投与は、フリーラジカルに対して効果があるかもしれないことがわかりました。しかし、細胞は自然に抗酸化剤を生成し、試験管内実験では、細胞は余分な抗酸化剤にさらされると、生成量を減らします。

メラトニンは加齢を遅らせたり、若返らせるという主張は、全く立証されたものではありません。これまでのメラトニンの研究は、こうした主張を支持するには非常に制限されたもので、また、ヒトではなく動物を対象にしたものでした。

睡眠についての研究によると、メラトニンは、毎日の睡眠・覚醒周期に関わっており、0.1から0.5ミリグラムの量のサプリメントは、不眠を解消する場合もあることがわかっています。

しかし、間違った時間にメラトニンを摂取すれば、睡眠・覚醒周期を乱します。 他の副作用としては、翌日に意識障害、眠気、頭痛が起こる場合があります。

このような副作用は、覚えておいてください。なぜなら、通常、店で売られているメラトニンの量は3ミリグラムですが、この量は、血液に入ると、正常値より10‐40倍多い量になるからです。 そのような高い濃度のメラトニンが、身体に与える長期的な影響はまだわかっていません。

研究者によってさらに解明されるまで、注意が必要です。

 

Testosterone(テストステロン) テストステロン

●Testosterone

ごく普通の男性にテストステロンについて尋ねると、このホルモンは身体を男性に変身させる助けをすると答えるかもしれません。もしくは、性的動因と関係していると答えるかもしれません。もしくは、その人が最近のニュース記事を読んでいたら、“男性の閉経期”と答えるかもしれません。これは、高齢の男性においてテストステロンのレベルが減少することで起こると思われる症状です。

実際は、「アンドロポーズ(男性更年期)」とか「バイロポーズ」でも知られているこの賛否両論の症状が存在するという証拠は、ほとんどありません。

テストステロンは、思春期に重要な役割を担う必要不可欠な性ホルモンです。

しかし、一部の人が信じているのとは逆に、テストステロンは男性だけのホルモンではありません。女性も、少量ですが、このホルモンを生成します。

男性は、精子を生成する生殖腺である精巣でこのホルモンを生成します。精巣で生成されたテストステロンの量は、視床下部や下垂体で調整されます。

このホルモンの生成量は、思春期や成人になったばかりの頃が最も多く、年齢とともにやや少なくなっていきます。 しかし、テストステロン生成の正常値の範囲は広いことを覚えておいて下さい。そのため、年齢とともにテストステロンの生成は低下しますが、ほとんどの高齢の男性は正常な範囲内でとどまり、女性の閉経期のようにホルモン生成がほぼ止まってしまう可能性はほとんどありません。

実際、高齢者の男性に起こっている変化の多くは、テストステロンレベルの低下のせいにされていますが、これは間違いです。 たとえば、勃起不能の人は、テストステロンの減少のせいにしたい気になるかもしれません。しかし、ほとんどの場合、勃起不能は循環系の障害が原因であり、テストステロンの減少が原因ではありません。

それでも、少数の男性にとって、テストステロンのサプリメントは有益かもしれません。

こうしたサプリメントは、少し、あるいは全くテストステロンを生成しない男性に処方されます。たとえば、感染や腫瘍で下垂体が破壊されたり、精巣が損傷を受けたりした男性です。

こうした極端なテストステロン欠乏症の男性にとって、パッチや注射、局所ゲルなどのサプリメント投与は、かなりの効果をもたらす可能性があります。サプリメントは、テストステロンのレベルが非常に低い男性が、強い筋肉や骨を維持したり、性的動因を高める助けをする可能性があります。

しかし、こうした極端な欠乏症に罹っていない健康な男性に対するテストステロンの代替品の影響については、さらなる研究が必要です。

NIAは、高齢者の脆弱さの遅延や予防に対して、テストステロンの補充が果たす役割を調査しています。

少数の男性グループを対象にした予備研究の結論は、決定的ではありません。また、このホルモンの補充が、どの程度記憶力をよくしたり、男性がたくましい筋肉や丈夫な骨、強い精力を維持する助けをしているかはわからないままです。

このホルモンの高齢になってからの使用については、他にも多くの疑問点があります。

たとえば、テストステロン生成の正常範囲内での低い方の値の男性にとって、補充が効果をもたらすかどうかは不明です。

また、補充的テストステロンが、高齢者の身体に及ぼす長期的な副作用について懸念している研究者もいます。たとえば、テストステロンサプリメントが前立腺癌のリスクを高める可能性があるかどうかは、まだわかっていません。前立腺癌は、男性の癌による死亡の中で2番目に多い癌です。新しい前立腺癌の発症を促す可能性に加えて、テストステロンは、すでに発症している前立腺癌の成長を促す可能性もあります。

新しい前立腺癌の発症を促す可能性に加えて、テストステロンは、すでに発症している前立腺癌の成長を促す可能性もあります。この副作用は血液を濃くし、脳卒中のリスクを高めます。

結論:高齢者の中には、こうしたサプリメントを試し、「元気が出た」とか「若返った」と報告している人もいます。しかし、テストステロン補充により、正常なレベルのテストステロンを持つ男性が、年齢とともに体験するかもしれない肉体的、精神的な変化を防いだり、緩和することができるとは、まだ、科学的に証明されていません。テストステロンの代替の効果が、どんな副作用にも勝るかどうかを知るには、もっと科学的に厳密な研究が実施される必要があるでしょう。

 

Menopausal Hormones(更年期ホルモン治療に用いるホルモン)更年期ホルモン治療に用いるホルモン

●Menopausal Hormones

この概況報告書で説明されている他のホルモンと違って、エストロゲンやそれが身体に及ぼす効果に関する研究は、数多く実施されており、長期的で信頼性があり、規模も大きいものです。こうした研究によると、エストロゲンは、多くの重要な効果をもたらす可能性があります。

この初期の研究に基づいて、多くの女性は、閉経期の症状を緩和したり、骨粗しょう症や心臓病のリスクを減らすため、エストロゲンのサプリメントを摂取するようにアドバイスされました。

しかし、ホルモンサプリメントを一般的に使用するには、研究者がその効果とリスクを発見するまで待ってみることが大切です。エストロゲンも、例外ではありません。

女性の中には、閉経期前や後にエストロゲンに助けられる人もいますが、エストロゲンの摂取で、特定の病気になるリスクが高まる女性もいます。研究によってこのホルモンに関する新しい情報が発見されていることから、女性や主治医は、エストロゲンのサプリメントを摂取してもいい人とそうでない人について、判断の見直しをしています。

多くの女性にとって、閉経期の短期間のエストロゲン摂取は、考えられる副作用に勝る効果をもたらすかもしれません。

まず、エストロゲンサプリメントは、ほてりや膣の乾燥を減らします。また、しばしば、骨がスカスカになって高齢者の身体に障害をもたらす骨粗しょう症のリスクを低下させます。また、エストロゲン治療は、気分や心理的な幸福感を高める可能性もあります。

しかし、依然として、エストロゲン補充の効果については、懸念すべき点が数多くあります。なぜなら、いくつかの副作用が、特定の女性に起こりやすいからです。

たとえば、エストロゲンは、子宮切除をしていない女性における子宮癌のリスクの増加と関連づけられています。このリスクをなくすため、子宮のある女性は、エストロゲンと併用して、プロゲステロンホルモンの合成物質であるプロゲスティンを摂取するようアドバイスされます。

エステロゲンのみ、もしくはプロゲスティンと併用して摂取することを、更年期ホルモン治療と呼びます。(MHT)初期の研究によると、更年期ホルモン治療は閉経後の女性の心臓病(米国における女性の最大の致命的病気)のリスクを低下させる可能性があります。

しかし、現在、その後の研究で、何人かの女性にとって、更年期ホルモン治療が、心臓病になるリスクを高めたかもしれないことがわかりました。

また、更年期ホルモン治療は、血栓ができるリスクを高めます。血栓は、動脈の循環を妨げ、心臓発作や脳卒中につながる可能性のある症状です。

2002年、NIHによって設立された女性の健康イニシアチブ(WHI)が行っていた更年期ホルモン治療に関するある重要な研究は、深刻な健康問題が発生したため、5年2カ月の研究の後、中止となりました。

この問題の調査委員会は、以下のことを発見しました。プロゲスティンとエストロゲンを併用して摂取している女性と、ホルモンを使用していない女性それぞれ1万人につき、

  • ホルモンを使用している女性のほうが、乳癌の発症が8例多かったのです。これは、ホルモン使用の女性のほうが乳癌になるリスクが26%高いことを意味します。
  • また、同じく心臓病の発症が7例多く、これは、ホルモン使用の女性が心臓病になるリスクが29%高いことを意味します。
  • また、同じく脳卒中の発症が8例多く、これは、ホルモン使用の女性が脳卒中になるリスクが41%高いことを意味します。
  • また、同じく肺に血栓ができた女性が8人多く、これは、ホルモンを摂取していない女性における発症率の2倍でした。

しかし、健康によい効果をもたらす可能性があることもわかりました。

  • 大腿骨頚部骨折の発症は、5例少なく、これは、ホルモン使用の女性が大腿骨頚部骨折になるリスクが34%低いことを示します。
  • また、直腸癌の発症は6例少なく、これは、ホルモン使用の女性が直腸癌になるリスクが37%低いことを示します。

この研究は、予定より早く終了しました。その理由は、専門家が、その時期には、副作用の方が効果より勝っていると確信したからです。

こうしたリスクは、個人にとってはまだ小さいですが、重要な公衆衛生問題です。この研究の一部は、子宮を摘出された女性がプロゲスティンの併用なしでエストロゲンのみを摂取するのを観察する研究でしたが、同様のリスクは見つからなかったため、継続される予定です。

いくつかの研究によると、エストロゲンは、アルツハイマー病を予防する可能性がありますが、まだ、証明されていません。

実際、2003年に実施した関連の研究である、女性の健康イニシアチブ記憶研究は、エストロゲンとプロゲスティンを併用している65歳以上の女性が、ホルモンを摂取していない女性より痴呆になるリスクが2倍高いことを報告しています。これは、ホルモンを摂取していない65歳以上の女性1万人と、こうしたホルモンを摂取している65歳以上の女性1万人を比較した場合、ホルモンを摂取しているグループの方が、毎年、痴呆症になる人が23例多いことを意味しています。(リスクが105%高いということです)

女性の健康イニチアチブ試験に関しては、エストロゲンのみの摂取に対する研究は、継続されています。

そのため、エストロゲンを摂取するかどうか決断するのが、今や、これまでよりはるかに複雑で難しくなりました。研究者は、長年、エストロゲンを研究していますが、かつては解明されたと思われた点も含めて、数多くの疑問点が再び現れてきています。この治療を選択する前に、女性はおのおの主治医の指導やアドバイスをもらって、更年期ホルモン治療のいい所と悪いところを考慮すべきです。そして、個々人のリスクや効果を現実的に評価した上で、インフォームドチョイス(患者自身が治療方法を自らの意志で選択すること)をすべきです。

研究者たちは、何年間も、こうした更年期治療に使われるホルモンを集中的に研究した後に、その効果とリスクについて新たな情報を発見しています。このことを覚えておいて下さい。

新しいことが発見されると、女性や主治医は、そうしたサプリメントを摂取すべきかどうか、頻繁に評価しなおす必要が出てくるかもしれません。

 

Many Questions, Few Answers (多くの疑問と、少しの答え)多くの疑問と、少しの答え

●Many Questions, Few Answers

NIAは、多くのリサーチプロジェクトを支援しており、そうしたリサーチによって、ホルモンサプリメントのリスクと効果が、もっと明らかになるでしょう。

リサーチの目的の一つは、DHEAやメラトニン、その他のホルモンサプリメントが、高齢者の健康を増進させるのか、もしくは効果はないのか、あるいは実際は有害なのかということを判断することです。 

こうした研究は、即答や最終的な答えは出せないかもしれないことを覚えておいてください。DHEAやメラトニン、ヒト成長ホルモンの場合は特にそうです。なぜなら、こうしたサプリメントの研究は、かなり最近のものだからです。

たとえば、研究者は、単に次の研究でどんなことを解明すればいいかといった情報しか得られないかもしれません。研究とは、少しずつ進んでいくプロセスで、もっと決定的な答えを得るためには、さらに規模の大きい研究が必要かもしれません。

DHEAやメラトニン、ヒト成長ホルモンについてもっといろいろなことがわかるまで、消費者は、そうしたホルモンには用心したり、疑ってみることが必要です。

メディアに登場する広告やストアがどんなことを宣伝していても、ホルモンサプリメントが加齢を防ぐことは証明されていません。 いくつかの副作用がすでに発見されており、さらなるリサーチで他の副作用が発見されるかもしれません。

エストロゲンやテストステロンについて他にもわかっていることがあります。こうしたホルモンの真性欠乏症を心配する人は、主治医にサプリメントについて相談すべきです。

また、医者の指示なしにホルモンサプリメントの摂取を選択する人は、こうしたサプリメントが、健康な人には明確な効果は少ないと見られており、加齢のプロセスに与える影響は証明されていないことを承知しておくべきです。


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