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大豆:大豆タンパク質

大豆:大豆タンパク質の健康強調表示と他の成分に関する疑問 -ジョン・ヘンケル-

Soy:Health Claims for Soy Protein,Questions About Other Components byJohn Henkel

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Soy Benefits(大豆の有益性) 大豆の有益性

●Soy Benefits

長年、菜食主義者や健康に関心のある人たちは、大豆タンパク質を豊富に含む食品は、牛豚肉や鶏肉などの動物食品の代替品になることを知っていました。近年、消費者は健康なライフスタイルを追求しており、大豆食品は健康にいいという科学的研究結果もあいまって、そうした食品の消費は着実に増加しています。昨年10月、食品医薬品局(FDA)は、大豆タンパク質の割合が高い商品に、心臓病の危険性を低下させると書いたラベルを貼付することを食品メーカーに許可しました。

以前に承認されたオートブラン(オート麦ぬか)や他の食品に対する健康強調表示のように、この健康強調表示も、消費者に大豆タンパク質の利点について確固たる科学的情報を提供し、”心臓を丈夫にする”献立を立てる手助けをしています。健康強調表示の承認で、食品メーカーは、さまざまな大豆商品を製造するようになってきています。(”大豆の健康強調表示”を参照)

しかし、FDAが健康強調表示の規則を提案するとすぐに、大豆商品に含まれる特定の成分、特にイソフラボンに関心が集まりました。その結果、この規則についての論争が巻き起こりました。

DA管轄の食品の安全性と応用栄養学センターの主要栄養学者、エリザベス・A. イェットレー氏は、少しも驚きませんでした。「これまでに発表された食品の健康強調表示は、どれも論争になっています。健康的な食事と飽和脂肪の関係さえもです」とイェットレー氏は言います。

この論争は、ちょっと目には消費者を混乱させそうですが、この規制の背後にある根拠を注意深く探ってみると、あることがわかります。FDAは確固たる科学的リサーチを基に大豆タンパク質の健康的利点についての健康強調表示を認めていますが、この表示とそれに関連した問題との間には大きな隔たりがあります。これまでにわかっていることは、大豆を含む全ての食品は複雑な化学物質の集合体であり、多くの場合有益かもしれませんが、誤って使用すると有害になるかもしれないのです。そうした単純な事実のなかに、科学的ジレンマがあります。「データはいつ、ある食品が安全だと教えてくれるのか? また、いつ有害かどうか教えてくれるのか?」

科学者たちは、大豆タンパク質が豊富な食品は、心臓を丈夫にするためには非常に有益であるという事実を認めています。この事実は、対照グループを使った十数件の臨床研究で証明されています。1999年、FDAは、入手可能なヒト研究を一年にわたって再評価しました。その結果、25グラムの大豆タンパク質を含み、低飽和脂肪、低コレステロールの食事を毎日すれば、心臓病の危険性を低下させるかもしれないという食品ラベルの健康強調表示を許可しました。

「大豆自体は魔法の食品ではありません。しかし、補完的に摂取すれば健康によい影響をもたらす食品の例です」と、食品の安全と応用栄養センターの栄養商品・ラベリング・補助食品局の局長代理であるクリスティン・ルイス氏は言います。

今日までに実施されたリサーチの大部分は、豆腐や“豆乳”など丸ごとの大豆を使った食品や、食品に添加した大豆タンパク質としての食用大豆を調査してきました。そして、公衆衛生関係者は、おおかた、こうした大豆を丸ごと使った食品は健康的な食事に含める価値があると認めています。しかし、最近の関心は、丸ごとの大豆や完全な大豆タンパク質ではなく、大豆イソフラボンであるdaidzeinやgenisteinなど大豆に含まれる特定の成分に集中しています。こうした処方箋なしの錠剤や粉状で手に入る化学物質は、よく、ほてりなど女性の更年期の症状を軽減するサプリメントとして宣伝されています。

イソフラボンは,エストロゲン(卵胞ホルモン)を弱くした形状の植物ホルモンで、体内に薬物に似た効果をもたらす可能性があるため問題だと、研究者は言っています。この薬物に似た効果は、閉経後の女性に顕著に現れることがあり、いくつかの研究は、高いレベルのイソフラボンは、癌、特に乳癌の危険性を高めるかもしれないと示唆しています。しかし、リサーチデータは、結論を出すにはいたっておらず、いくつかの研究は、全く反対のことを言っています。つまり、ある条件下では、大豆は乳癌の阻害を助けるかもしれないというのです。これは、事実が有益性と危険性を同時に指し示すという科学的なぞなぞであり、研究者のなかには注意を呼びかける者もいます。

大豆イソフラボンに関する論争と違って、大豆タンパク質の有益性に関する事実は、より明白です。FDAが完全な大豆タンパク質を含む食品に健康強調表示を制限したのも、こうした理由からです。健康強調表示は、イソフラボンgenisteinやdaidzeinなどの大豆タンパク質から分離した成分には触れていません。

「書かれていることが全てではありません」と、タフト大学の準医学教授のマルゴ・ウッズ博士は言います。同博士は、閉経後の女性における大豆の効果を研究したことがあります。「たくさんのデータが出てきており、混乱を招いています。しばらくは、注意が必要です」ウッズ博士の関心は、主にイソフラボンサプリメントですが、丸ごとの大豆を薦めるほうが「気持ち的に楽です」と言います。「大豆(食品)には、何百という健康を守る成分が含まれていると思われます。しかし、錠剤に同じことができると考えるのは、ちょっと無理があります」。

FDAの国立毒物学リサーチセンターのエストロゲンノーレッジベースプログラム局長であるダニエル・シーハン博士も、大豆イソフラボンの摂取には注意を呼びかけています。FDAが健康強調表示を再検討している時に、FDAに提出した公文書のなかで、シーハン博士は同僚のダニエル・ドルジュ博士と共にこう書いています。「イソフラボンはある年齢や状況下では有益かも知れませんが、全ての年齢に有益であると考えることはできません。イソフラボンは、他のエストロゲンのように両刃の剣です。有益性でもあり危険でもあるのです」。

FDAは科学を基礎にした機関であるため、リサーチ情報は時間と共に変化し、新しい研究が完了すれば、現在ある混乱は解決されるだろうと考えています。「FDAは、引き続き、現在実施されている研究を監視していきます。新しいデータが提出されれば、それに応じて、自分たちの立場や人々に提供する助言を変更します。とても、責任ある仕事だと思っています」と、イェットレイ氏は言います。

 

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Soy Benefits(大豆の有益性)大豆の有益性

●Soy Benefits

大豆タンパク質を含む食品は、動物食品の代用になります。なぜなら、他の豆類と違って、大豆は“完全な”タンパク質の特徴を持っているからです。大豆は、ヒトの栄養に必須のアミノ酸を全て含んでいます。必須アミノ酸は、体内で合成できないので、食事を通して摂取する必要があります。大豆タンパク質商品は、他の食べ物で補完することなく、動物食品の代用ができます。動物食品も、完全なタンパク質を含んでいますが、大豆より脂肪、特に飽和脂肪を多く含む傾向があります。

外国、特にアジアでは、何世紀にもわたって大豆を幅広く使ってきました。一方、アメリカでは、大豆食品の広がりはニッチ市場の域を出ていません。アメリカでは、大豆は巨大な換金作物(すぐに現金になる作物)ですが、商品は主に家畜用飼料として使われています。

健康的な食事がますます強調されるようになってきたため、そうした状況も変わるかもしれません。大豆商品の売上げは増加しており、業界関係者によると、FDAが承認した健康強調表示のおかげで、さらなる増加が予測されています。(1992年、アメリカの大豆食品の小売販売額は8520億ドルで、2002年には3兆7,140億ドルに増加すると予測されています。添付ファイルを参照)「FDAが承認した他の表示でも同じことが起こりました」と、米国食料品メーカーの社会政策上級部長であるブライアン・サンソニ氏は言います。「FDAが表示を承認した商品は、注目を集めるからです。新聞やテレビが取り上げ、インターネットで情報を検索できます」。

健康強調表示として承認されるには、食品は少なくとも1食分6.25グラムの大豆タンパク質を含み、低脂肪、低コレステロール、低ナトリウム塩など他の規準を満たしていなくてはなりません。大豆食品の表示は、ここ数年、FDAが承認した他の表示と似ています。たとえば、オートムギぬかやアメリカオオバコの種についての表示は、こうした食品に含まれる可溶性繊維はコレステロールを低下させる効果があり、心臓に有益であると謳っています。

FDAは、一日4食分の大豆摂取は、低密度リポタンパク質のレベルを10%も下げるという結論を出しました。低密度リポタンパク質とは、いわゆる“悪玉コレステロール”のことで、血管の中に蓄積します。この数字には、重要な意味があります。なぜなら、心臓の専門家は、一般的に、総コレステロールを1%減らすことは、心臓病の危険性を2%減らすことに等しいということで意見が一致しています。心臓病は、アメリカ人の最大の死亡原因です。発作などの心臓や血管異常は、年間100万人の死につながっています。

FDAは、プロティンテクノロジーインターナショナルインクによる請願書を受けて、大豆タンパク質の健康強調表示を認可しました。この会社は、主要な大豆製造業者で、その歴史は、1930年代初期、ヘンリー・フォード氏が支援した大豆研究にまで遡ることができます。1997年、この会社はデュポン社に買収されました。FDAはこの請願書を検討するにあたり、請願書に提出されていた27件の臨床研究のデータや、FDAが確認した研究や公文書に提出されたコメントを再評価しました。入手可能なリサーチは、一貫して、定期的に大豆タンパク質を摂取すれば、程度はさまざまだが、コレステロールを下げると示していました。

1999年、ウエイクフォレスト大学バプテスト医学センターで9週間にわたって実施された研究が、アーカイブオブインターナルメディスンに報告されました。それによると、大豆タンパク質は、LDL(低密度リポプロテイン)と総コレステロールの血中濃度を下げるが、HDL(高密度リポプロテイン)もしくは“善玉”コレステロールのレベルを下げることはないということがわかりました。善玉コレステロールのレベルが高いと、心臓病の危険性が低下すると言われています。よく引用される1995年にニューイングランド医学ジャーナルに掲載された研究は、38件の別々に実施された研究を調査しました。そして、大豆タンパク質は、総コレステロールとLDLコレステロールだけでなく、トリグルセリド(グリセリンの3個の水酸基が脂肪酸と結合したエステル)も“大幅に低下させる”という結論を導き出しました。トリグルセリドは脂肪の一種で、この脂肪のレベルが高いと健康を害すると考えられています。骨粗しょう症や前立腺癌、結腸癌などの疾患については、現在、調査中です。

他の研究は、大豆は心臓を健康にする以外にもよい点があるとほのめかしています。1999年の終わり頃に開催された、慢性病の予防と治療における大豆の役割をテーマにした第3回国際シンポジウムで、研究者たちは、大豆の消費と発病の危険性が低下した病気を関連づけるデータを提出しました。

 

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Soy's Many Faces(大豆はたくさんの顔を持つ)大豆はたくさんの顔を持つ

●Soy's Many Faces

多くのアメリカ人にとって、大豆はこれまでと違った新しい種類の食品に思えますが、実は、すでに幅広く消費されている商品のなかで使われています。たとえば、米国大豆局によると、アメリカで年間に使用される食用油の79%は大豆油です。市販のマヨネーズやマーガリン、サラダドレッシング、野菜ショートニングの原材料名には、よく大豆油が上の方に記載されています。しかし、健康強調表示は、大豆タンパク質を含む食品にしか適用されません。こうした食品だは、さまざまな方法で食事のなかに取り入れることができるので、毎日、有益だと思われる大豆タンパク質25グラムを摂取できます。

以下に挙げた食品全部に健康強調表示が適用されるわけではありませんが、大豆タンパク質の最も一般的な供給源の一部です。

  • 豆腐は、煮て裏ごしした大豆をカスタード状のケーキに加工したものです。豆腐は淡白な味で、強火で素早く炒めたり、"スム-ジー"(フルーツ・ヨーグルト・アイスクリーム・ミルク入り飲み物)に入れたり、クリームチーズのようにかき混ぜてディップとして使ったり、チーズの代用にもなります。豆腐は、柔らかく固められ、絹のように滑らかです。
  • 販売者によって“豆乳”と名づけられた大豆飲料は、さやをむいた大豆をすりつぶし、水を混ぜ合わせて牛乳のような液体にしたものです。飲料として飲んでもいいし、牛乳の代わりに料理に使うこともできます。豆乳は、時々カルシウムで栄養価を高めています。プレーン味のものやバニラやチョコレート、コーヒー味のものがあります。乳糖が嫌いな人にとっては、豆乳は乳製品の格好の代替食品になります。
  • 大豆粉末は、炒った大豆を細かい粉状に挽いたものです。この粉末だとタンパク質入りの焼き食品ができ、水分もあるので、卵の代わりにもなります。また、大豆粉末は、シリアルやパンケーキの素、冷凍デザート、その他のよく見かける食品にも使われています。
  • 大豆タンパク質製肉は、圧縮して水分や脂肪分を取り除いた大豆粉末から作られます。これは肉の代用になったり、ミートローフなどの料理の詰め物にも使えます。
  • テンぺは、丸ごと煮た大豆を平たく丸めたもので、噛み応えがあり、肉の代用になります。
  • 味噌は、発酵させた大豆をペースト状にしたもので、調味料として使ったり、スープ種のなかに入れます。
  • また、大豆タンパク質は、大豆ソーセージやバーガー、フランクフルトソーセージ、コールドカット(サラミ、ハム、ソーセージや冷肉の薄切りとチーズなどの取り合わせ料理)などのたくさんの“擬似肉”食品や、大豆ヨーグルト、チーズなどに使われます。どれも、動物の肉をつかった食品の代用となります。
  • 大豆素材を含んだ食品のすべてが、健康強調表示の条件を満たしているわけではありません。そのため、消費者は、商品のラベルをチェックし、心臓を丈夫にする食事に最も適した食品を探しましょう。その商品は、一日の食事に必要な量の大豆タンパク質を含んでいるかどうか、また、飽和脂肪は高くなく、他の身体に悪い成分は含まれていないことを確認しましょう。

 

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Are Consumers Warming Up to Soy?<br>(消費者は、徐々に大豆を受け入れているのだろうか?)消費者は、徐々に大豆を受け入れているのだろうか?

●Are Consumers Warming Up to Soy?

明らかにアメリカ人の大豆商品摂取は増加していますが、大豆がアメリカ家庭の主要食品になるにはまだまだ時間がかかりそうです。米国大豆局の1999年の調査によると、調査の対象になった消費者の66%は、大豆商品は健康的であると信じています。1997年の調査では、59%でした。しかし、健康にいいと思いながら、週に1回大豆商品を食べているのは、そのうちわずか15%です。

この数字の開きは、認識の違いによるところが大きいようです。「アメリカ人は、ライフスタイルを変えてまで、健康な食品を食べようという気はありません」と、料理人であり大豆の料理本も出しているダナ・ジャコビ氏は言います。「多くの人は、大豆商品の味や風味を誤解したり、あるいは自らの経験から否定的な考え方をしています。しかし、実際は、たくさんの方法で食事に取り入れることができるのです」。(“食事に大豆タンパク質を加える”を参照)

業界の数字によると、大豆食品の人気は、商品によっては急上昇しています。たとえば、サンフランシスコにある売上げ追跡会社スペンスインフォメーションサービスのデータによると、1998年、豆乳の売上げは、主流スーパーマーケットで前年比53%の増加、健康食品の店で同じく24%も増加しています。別のリサーチ会社ヘルスフォーカスによると、1998年、買い物客の10%は、大豆は病気になる危険性を下げるという理由から、前より多めに大豆を食べていると答えました。1996年の調査では、3%でした。

北米の大豆食品協会によると、大豆の人気には次の3つの要因が考えられます。

  • まず、ベビーブーマーは、自分たちの前の世代より長命や健康に関心を持ち、そうした情報に精通しています。
  • 次に、米国のアジア人の人口は2ケタ台の成長を遂げており、伝統的な大豆食品の需要に拍車をかけています。また、アメリカ人も前よりアジアの食品を食べ、それに大豆が含まれていることが多々あります。
  • 若者は、植物から作られた食品を選んでいます。食品業界の調査によると、米国の97%のカレッジや大学の食堂のメニューにある主菜は、肉を使っていません。

主流食料品店も、伝統食品のある場所に大豆商品を人目につくように陳列しています。大豆から作ったバーガーやソーセージは、冷凍ケースのなかで肉商品と隣合わせに並べられています。乳製品と一緒に冷蔵された豆乳を売っている店もあります。また、店の青果物コーナーでは、大豆チーズやコールドカットと一緒に豆腐が並んでいることもまれではありません。

「FDAが健康強調表示を承認する前に、当店では青果物コーナーの大豆商品の数を増やしました」と、大西洋岸地域でも大規模食料チェーン店、ジャイアントフードの栄養士パウレット・トンプソン氏は言います。「しかし、多くの消費者にとって、大豆はいまだに謎です。そうした消費者を教育することが重要です」。彼女の会社は、自社の日曜新聞の付録や季刊消費者雑誌で大豆に関する情報を提供しています。また、大豆や他の食品成分の利点を強調する“健康商品”の特別販促も計画しています。

食品メーカーは、大豆はまずいかもしれないという不安から摂取をためらっている消費者のために、表示に書かれている量の大豆を含んでいるが、特に味をよくするために開発した新しい大豆商品を製造しています。「実際に食べた人にも見ただけの人にも、大豆の大きな障害は味です」と、ケロッグ社のスポークスウーマン、メガーン・パークハースト氏は言います。同社は、西部の州に、グラノラに似た大豆シリアルを導入する計画を立てています。これは、消費者を対象に実施した試験において味で高得点を獲得した食品です。

 

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Examining the Controversy(論争を検証する)論争を検証する

●Examining the Controversy

健康強調表示に記されているように、既存の科学データは、大豆タンパク質の価値を強く支持しています。しかし、大豆の個々の成分、特に濃縮したサプリメントとして一部の人に消費されている成分についての疑問が起こっています。

「FDAは、こうした大豆の個々の成分が相対的に安全かどうかについて書かれたデータベースや科学リサーチを引き続き監視していきます。そうしたデータベースやリサーチは、いずれ、疑問を解決すると思われます。新しいリサーチ結果が危険性の増加を示す場合、FDAは新しい情報を元に方針を修正し、練り直します」と、食品安全と応用栄養学センターのルイス氏は言います。

現在、いくつかの研究が計画、実施されています。FDA国立中毒学リサーチセンター(NCTR)研究員、バリー・デルクロス氏は、数世代にわたるラットを使って大豆成分であるgenistein.の長期的研究を監督しています。ラットを使った初期のデータによると、genisteinだけを摂取した場合、オスの胸が大きくなるなどの望ましくない効果を引き起こす可能性が指摘されています。デルクロス氏の研究では、投与量と副作用の関係を分析する予定です。

国立衛生研究所(NIH)は、大豆で作られた乳児用調合ミルクの安全性を調べる長期的追跡研究を支援しています。この研究は、“長期にわたる回顧的疫学の”評価で、乳児のときに大豆の調合ミルクを飲んだ若い成人と、動物の調合ミルクを飲んだ若い成人を比較します。若い成人たちは、乳児期から出産適齢期までの間に副作用を経験したかどうか調査されます。

「1997年、医学ジャーナル『ランセット』に発表された研究リサーチによると、大豆の調合ミルクを飲んでいる乳児は、大豆サプリメントを飲んでいる女性より血液中のイソフラボンのレベルが5倍から10倍高いことがわかりました。そのため、この分野のリサーチが必要となります。ちなみに大豆サプリメントを飲んでいる女性は、月経周期の乱れが報告されています」と、NCTRのシーハン氏は言います。「イソフラボンがこのレベルに達すると、中毒効果を引き起すかもしれません。大豆の調合ミルクを飲んでいる乳児は、これが唯一の食品であり、いつも摂取しているため、誰よりも大豆とイソフラボンを吸収しているといえます」と、シーハン氏。しかし、米国小児科学会は、牛乳が飲めない乳児の場合は、大豆タンパク質で作られた調合ミルクは適しているという手引書を出版しました。

また、シーハン氏は、甲状腺の機能に与える大豆の影響を心配しています。動物を使った研究結果は(なかには1959年の研究も含まれます)、甲状腺腫などの甲状腺異常と大豆イソフラボンを結び付けています。生化学薬理学における1997年の研究は、甲状腺ペルオキシダーゼ(過酸化水素によって、有機物が酸化するのを触媒する一群の酸化還元酵素の総称)の阻害剤としてgenisteinとdaidzeinを特定しました。データによると、genisteinと daidzeinは、甲状腺腫と甲状腺の自己免疫異常を引き起こす可能性があります。これらの研究の結果を評価する時は、ヨウ素不足が要因かもしれないことを考慮する必要があると、批評家は示唆しています。

リサーチ関係者は、大豆消費の“否定的な面”についていろいろに懸念していますが、一貫しているメッセージは、“大豆成分の新しい使い方には、もっとリサーチが必要である”。しかし、健康強調表示は大豆タンパク質の使用に焦点を当てています。大豆タンパク質は、健康の専門家の間で、心臓を丈夫にする食事には有益であるとして一般的に受け入れられています。

「大豆食品の売上げは、今のところ、着実に増加を続けるでしょう」と、米国食料品メーカーのサンソニ氏は言います。「大豆商品はあちこちで話題になっているので、興味を引かれて試してみたい人が出てきています。しかし、一時的な流行だとは思えません。今後も長く続くでしょう」。


大豆への関心も高まり、大豆タンパク質の健康強調表示は成功したようです。FDAは、食生活を改善し心臓を丈夫にできるようにと具体的な手引書を作成したり、業界を刺激して、大豆タンパク質が多く含まれている新しい食品の製造を促しています。結局、大豆タンパク質の流行は、心臓病の危険性を少なくしたいと思っている人々にとって喜ぶべきことなのでしょう。

ジョン・ヘンケル氏は、FDAの公事を取り扱うスタッフです。

 

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Adding Soy Protein to the Diet(大豆タンパク質を食事に加える)大豆タンパク質を食事に加える

●Adding Soy Protein to the Diet

心臓病の危険性を少なくするために、大豆タンパク質をもっと摂取したいと思っている消費者に、健康の専門家はこうアドバイスします。「大豆のよさを取り入れるために、肉や鶏肉、乳製品など動物から作られた商品を全く排除してしまう必要はありません」。コレステロールレベルに対する大豆タンパク質の直接的な効果は、十二分に実証されていますが、動物タンパク質を大豆たんぱく質で代用するのは、脂肪摂取を少なくする有益な方法といえます。

「たとえば、ハンバーガーなどの飽和脂肪の多く含まれた食品を大豆バーガーなどの大豆商品で代用し始めたら、飽和脂肪やコレステロールを取らない食事という利点がついてきます」と、タフト大学の栄養学者アリス・リヒテンシュタイン教授は言います。

また、丸ごとの大豆食品は、繊維やビタミンB、カルシウム、オメガ3必須脂肪酸などの重要な食品成分の供給源です。

米国心臓協会(AHA)は、大豆商品は、果物や野菜、未精白の穀類、低脂肪乳製品、鶏肉、魚、赤身肉を含む食事のなかに取り入れるようにと推薦しています。また、AHAは、効果的にコレステロールを低下させる食事は、一日のカロリー摂取のうち脂肪が全体の30%以下、飽和脂肪が10%以下でなくてはならないと強調しています。

今日、非常にさまざまな大豆食品が、健康食品店だけでなく主流の食料品店の棚に並んでいます。大豆から作られた商品が増えているため、消費者は、心臓を丈夫にするために必要であるとFDAが表示している25グラムの大豆を、毎日の食事で簡単に摂取することができるようになってきました。大豆業界によれば、代表的な大豆食品に含まれるタンパク質をみれば、すぐに摂取量が計算できます。たとえば・・・

  • 約113グラムの豆腐には、13グラムの大豆タンパク質が含まれています。
  • 大豆ソーセージの一節は、6グラムのタンパク質が含まれています。
  • 一個の大豆バーガーには、10-12グラムのタンパク質が含まれています。
  • 約236ミリリットルの豆乳には、10グラムのタンパク質が含まれています。
  • 一個の大豆タンパク質バーには、14グラムのタンパク質が含まれています。
  • カップ半分のテンぺには、19.5グラムのタンパク質が含まれています。
  • カップ4分の1の焼いた大豆ナッツには、19グラムの大豆タンパク質が含まれています

消費者のなかには、大豆商品をいろいろなところで試している人もいますが、一日に必要な量を摂取するには、かなりの努力が必要です。コレステロールレベルが増加している人には、特に言えることです。「医者にとり、コレステロールを低くできる食事介入は、重要な治療法です。食事療法は、通常、薬物治療の前に処方され、開始後も続くので、特に重要です」と、コーネル大学の医学教授アントニオ・ゴット氏は言います。「食事療法はバラエティ豊かでないと、患者は飽きて前の食事習慣に戻ってしまい、成功しません」と、ゴット氏は強調します。ゴット氏は、患者との体験から、大豆を食事のなかにこっそり入れる方法を習得することが重要だと言います。

「人々は、食事にたくさん大豆を取り入れるのは大変だと思っています。しかし、大豆商品の種類が豊富なことがわかれば、大豆タンパク質を25グラム摂取するのは簡単です」と、調理師で料理本の著書でもあるドナ・ジャコビ氏は言います。ジャコビ氏は、大豆に慣れていない人には、スムージー(フルーツ・ヨーグルト・アイスクリーム・ミルク入り飲み物)や大豆粉末でできたマフィン、タンパク質バー、大豆ナッツなどの“味のよい”大豆食品を薦めます。

米国栄養士会は、大豆を毎日の食事に少量加えるか、既存の食品に混ぜるかして、徐々に慣れていくことを薦めています。そして、味や触感になじんだら、もっと増やすのです。


大豆商品の味は、マイルドで時に淡白なので他の料理に加えてもわかりません。大豆商品の味は、マイルドで時に淡白なので他の料理に加えてもわかりません。大豆粉で、ソースやグレービー(肉汁)にとろみをつけることもできます。焼いた食品やデザートに豆乳をかけることもできます。焼いた食品やデザートに豆乳をかけることもできます。

また、豆腐は他の料理の味に馴染むので、シチューや炒め料理に適しています。「ニンニクやつぶした粉トウガラシ、生姜など個性の強い味のものと一緒に料理するといいですよ。私のお気に入りは、スパイシーなバーベキューソースでソテーした豆腐です」と、ニューヨークで活躍する栄養士アミー・ラノー氏は言います。“チーズのような触感と、マイルドだがおいしい味”の市販の焼き豆腐もお薦めです、とラノ-氏。大豆に慣れていない人は、料理の専門家が作った大豆料理を食べに、高級レストランに行くことをお薦めします

大豆の調理師や栄養士は、さらに以下のような可能性を提案します。

  • 大豆で作られた飲料やマフィン、ソーセージ、クリームチーズを朝食に食べる。
  • サンドイッチのなかに大豆デリミート、大豆ナッツバター(ピーナッツバターに似ている)、大豆チーズを入れる。
  • 大豆チーズやペパローニ、ソーセージ、“クランブル(牛のひき肉に似ている)”でピザをトッピングする。
  • 大豆のホットドッグ、バーガー、マリネにしたテンぺ、焼き豆腐を網で焼く。
  • 豆腐やテンぺを細かく切り、炒めてサラダに入れる。
  • 豆乳をシリアルにかけたり、料理やスムージーを作るのに使う。
  • アジアレストランで、スパイシーな豆腐やみそ汁など大豆で作られた料理を注文する。
  • スナックとして焼いた大豆ナッツや大豆タンパク質バーを食べる

 

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The Soy Health Claim(大豆健康強調表示)大豆健康強調表示

●The Soy Health Claim

1999年10月、FDAは、大豆で作られた食品は心臓を丈夫にするというラベル表示を承認しました。FDAは、大豆タンパク質が、総コレステロールレベルや低密度リポタンパク質(LDLまたは悪玉コレステロール)を低下させることを示す27件の研究リサーチを再評価しました。

食品メーカーは、自社の商品に次のような表示やそれに準じた表示を貼付できます。「飽和脂肪やコレステロールが低く、一日25グラムの大豆タンパク質を含む食事は、心臓病になる可能性を低くします。(商品名)の1食分は、__グラムの大豆タンパク質を含んでいます」。表示の条件を満たすには、食品は一食分、以下の量を含んでいなければなりません:

  1. can soy-based proteins substitute for traditional estrogen replacement therapy? Menopause, 8: 154-156, 2001.
  2. Setchell KDR, Adlercreutz H: Mammalian ligans and phytoestrogens: recent studies on their formation, metabolism, and biological role in health and disease. Role of the gut flora in toxicity and cancer(ed Rowland I), 1st Ed, Academic Press, London, p315-345, 1988.
  3. Hammond CB, Nachtigall LE: Is estrogen replacement therapy necessary? J Reprod Med, 30: 797-801, 1985.
  4. Adlercreutz H, Hamalainen E, Gorbach S et al: Dietary phytoestrogens and menopause in Japan. Lancet, 339: 1233,1992.
  5. Nagata C, Takatsuka N, Kawakami N et al: Soy product intake and hot flashes in Japanese women: results from a community-based
  • 6.25グラムの大豆タンパク質
  • 低脂肪(3グラム以下)
  • 低飽和脂肪(1グラム以下)
  • 低コレステロール(20ミリグラム以下)
  • ナトリウム塩は、個々の食品では480ミリグラム以下、主菜では720ミリグラム以下、食事では960ミリグラム以下が適当

豆腐など丸ごと大豆でできている食品は、大豆に元から含まれている脂肪以外の脂肪を含まなければ、表示の条件を満たすかもしれません。

 

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  鈴木教授の一口コメント

本文は米国における大豆食品の健康表示に関するものです。この文章を読むとよくわかるように、「どこの誰が述べたことなのか」、「どういう論文に記載があるのか」がきっちりと明記されていることに注目して下さい。健康や医学に関わる情報は、このように証拠に基づいて書かれたものを参考にするといいでしょう。このように科学的根拠に基づいた医療のことをEBM(Evidence-Based Medicine)といいます。

さて、大豆は近年、更年期障害に用いられることが多くなっています。はたして、EBMはあるのでしょうか?今回は大豆と更年期障害を取り上げてみましょう。


特別解説1・更年期障害とは? 特別解説1・更年期障害とは?

更年期とは生殖期から老年期への移行期であり、生理学的には卵巣機能が低下、停止する時期です。日本人の平均閉経年齢は約50才であり、その前後5年ほどが更年期に相当します。女性の更年期には卵巣機能の衰退により、卵巣より分泌される女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少し、更年期症状と呼ばれる様々な不定愁訴が出現しますが、その程度が強く、日常生活が障害されるものを更年期障害といいます。

更年期障害の症状としては、顔などが急に熱くほてるホットフラッシュ(hot fash)・発汗・腰や手足の冷えなどの血管運動神経障害、手足のしびれ(知覚神経障害)、不眠、神経質、憂うつ、めまい、全身倦怠・易疲労感、肩こり・腰痛、頭痛、蟻走感などがありますが、この中でホットフラッシュは卵巣機能の低下をよく反映し、診断上最も重要な所見となります。通常、更年期障害の治療としては1)ホルモン補充療法(HRT)、2)漢方療法、3)カウンセリング、4)生活様式の改善、5)精神安定剤などが挙げられますが、最近では大豆イソフラボンなどの植物エストロゲンを用いた補完代替医療が注目されるようになってきました。


特別解説2・更年期障害と大豆イソフラボン 特別解説2・更年期障害と大豆イソフラボン

最近、ホルモン補充療法(HRT)の代替療法として最も一般的に使用されているのは大豆製品です1)。植物エストロゲンとして有名な大豆イソフラボンにはゲニステイン(Genistein)とダイゼイン(daidzein)などがあり、大豆以外にはクローバー、レンズ豆などにも含まれています。イソフラボンは人の腸管でエストロゲンに似た構造物に変換されることが知られています2)。

欧米では75%もの女性が更年期にホットフラッシュ(顔面のほてり)を経験するとされていますが3)、日本人が25%以下であるのは、毎日50mg相当のイソフラボンを摂取しているからであるともいわれています4)。

岐阜大学の永田らの前向きコホート研究では、岐阜県高山市の女性1106人を6年間の追跡調査することによって大豆製品を多く食べている人ほど、ホットフラッシュが少ないことが分かっています5)。また、大豆はhot flashの頻度を40%減らすことが報告されている6)のをはじめ、大豆のhot flashに対する有効性は多く報告されています7-10)。

しかし、Quella らによると大豆は乳がん後のホットフラッシュには無効であるという11)。また、KnightやGermainらのように、大豆に有効性を見いだせなかったとする報告もある12-13)。

一方、Cassidyらは乳がんの危険率を減らすには大豆を摂るべきであると述べています14)。また、Andersonらは動物性タンパク質を摂取するよりも大豆タンパクを摂取している人の方がLDLコレステロールと中性脂肪の濃度が低いことをメタアナリシス(Meta-analysis)によって明確にしています15)。さらに、Potter、Alekelらは、大豆の摂取が骨密度に良い影響を与えることを示しています16-17)。

大豆製品の副作用としては例えば胸焼けなどの胃腸障害を起こすことがあります7)。

=参考文献=

  1. Elkind-Hirsch K: Effect of dietary phytoestrogens on hot flushes: prospective study. Am J Epidemiol 153 : 790-793, 2001.
  2. Murkies AL, Lombard C, Strauss BJ et al: Dietary flour supplementation decreases post-menopausal hot flushes: effect of soy and wheat. Maturitas, 21: 189-195, 1995.
  3. Albertazzi P, Pansini F, Bonaccorsi G et al: The effect of dietary soy supplementation on hot flushes. Obstet Gynecol, 91: 6-11, 1998.
  4. Washburn S, Burke GL, Morgan T G et al: Effect of soy protein supplementation on serum lipoproteins, blood pressure, and menopausal symptoms in perimenopausal women. Menopause, 6: 7-13, 1999.
  5. Upmalis DH, Lobo R, Bradley L et al: Vasomotor symptom relief by soy isoflavone extract tablets in postmenopausal women: a multicenter, double-blind, randomized, placebo-controlled study. Menopause, 7: 236-242, 2000.
  6. Scambia G, Mango D, Signorile PG et al: Clinical effects of a standardized soy extract in postmenopausal women: a pilot study. Menopause, 7: 105-111,2000.
  7. Quella SK, Loprinzi CL, Barton DL et al: Evaluation of soy phytoestrogens for the treatment of hot flashes in breast cancer survivors: A North Central Cancer Treatment Group Trial. J Clin Oncol, 18: 1068-1074, 2000.
  8. Knight DC, Howes JB, Eden JA et al: Effects on menopausal symptoms and acceptability of isoflavone-containing soy powder dietary supplementation. Climacteric, 4: 13-18, 2001.
  9. St Germain A, Peterson CT, Robinson JG et al: Isoflavone-rich or isoflavone-poor soy protein does not reduce menopausal symptoms during 24 weeks of treatment. Menopause, 8: 17-26, 2001.
  10. Cassidy A, Bingham S, Setchell KD. Biological effects of a diet of soy protein rich in isoflavones on the menstrual cycle of premenopausal women. Am J Clin Nutr, 60: 333-340, 1994.
  11. Anderson JW, Johnstone BM, Cook-Newell ME. Meta-analysis of the effects of soy protein intake on serum lipids. N Engl J Med, 333: 276-282, 1995.
  12. Potter SM, Baum JA, Teng H et al: Soy protein and isoflavones: their effects on blood lipids and bone density in postmenopausal women. Am J Clin Nutr, 68: 1375-1379, 1998.
  13. Alekel DL, Germain AS, Peterson CT et al: Isoflavone-rich soy protein isolate attenuates bone loss in the lumbar spine of perimenopausal women. Am J Clin Nutr, 72: 844-852, 2000.

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