母乳の代わりになる人工栄養として育児用調製粉乳、つまり粉ミルクが市販されています。これはいったいどんな時に利用されるのか、大きく2つのパターンが考えられます。
どうしても母親が赤ちゃんのそばにいられない状況がある時は粉ミルクを利用します。
ただ、働いている時間帯は粉ミルクを飲ませますが、母乳を飲ませられる時にはなるべく母乳を飲ませるようにします。母乳を与える回数が少なくなると、母乳が出にくくなるからです。また、まずは母乳による授乳を成立させるため、少なくとも生後3週間か4週間は利用するのを避けたほうが良いでしょう。
以下に挙げる5つの項目に該当する場合は、母乳による授乳が勧められない、あるいは困難となるような健康上の理由から、粉ミルクを利用することになります。どれもまれなケースです。
上記項目に該当する場合は、お医者さんや授乳の専門家に相談しましょう。現代では授乳を支援するためのアドバイザーやコンサルタントが普及しつつあります。授乳で何か困ったことがあったら病院や母乳・授乳アドバイザーを頼ってみましょう。適切な支援があれば、母乳による授乳に失敗することはめったにないと言われています。
訳者注:小児科医でもなかなか授乳についてしっかりした教育を受けている医師は少ないのが現実です。困ったときは遠慮せずに他の専門家の意見も聞いてみましょう。「日本ラクテーション・コンサルタント協会:http://www.jalc-net.jp/」を紹介しておきます。
人工栄養とは様々な理由で赤ちゃんに母乳を与えることができない時に粉ミルクで行う栄養補給法のことを言います。また、母乳と粉ミルクを併用する方法を混合栄養と言います。どちらも粉ミルクを利用するわけですが、私たちはこの場合のメリット・デメリット をきちんと知っておく必要があります。それを知った上で、いつ、どのような頻度で、どんな粉ミルクを与えるのか検討しましょう。
乳児用調製粉乳には様々な種類がありますので、ここでそれらの特徴を比較してみましょう。
オーソドックスなレギュラータイプの乳児用調整粉乳です。牛乳を加工し、母乳にできるだけ近い成分になっています。ただ、原材料が牛乳というヒトとは異種のたんぱく質であるため、時にアレルギーを起こす場合があります。
大豆たんぱくから作られたミルクです。赤ちゃんによってはミルクベースよりもこちらの種類の粉ミルクが適している場合もあります。しかし、ミルクベースでアレルギー体質が見られた赤ちゃんは、大豆たんぱくに対してもアレルギー体質である可能性があるので、そのような場合はアレルギー用のミルクを選ぶ必要があります。
赤ちゃんが牛乳に含まれる乳糖に対して耐性を持たない時に利用する調整粉乳です。また、下痢感染症を持つ赤ちゃんは乳糖を消化する能力が弱いのでこの種類のミルクがおすすめです。
この種類の調製粉乳に含まれるたんぱく質は細かく分解されています。このため、先に説明した種類のミルクと比較してアレルギー反応が出にくくなっています。もし赤ちゃんが何らかのアレルギー体質を示した時は、このタイプのミルクを選ぶと良いでしょう。ただ、普通のミルクに慣れた赤ちゃんは、味の違いからこの種のミルクを受け付けないという問題にぶつかる可能性もあります。困ったときはかかり付けの医者に相談しましょう。
この種類のミルクは大体9ヶ月以上の赤ちゃんを対象に市販されています。子どもが大きくなるにつれて母乳だけでは不足し始める鉄分などを中心に、子どもの成長に大切な栄養素をバランスよく配合しています。
【訳者注】
訳者はフォローアップミルクに関して、積極的に支持するだけの医学的知見は得られないと考えております。
粉ミルクを乳児が飲めるように調整することを調乳といいます。どのように調乳するのか、一般的な方法をご紹介します。
授乳の間隔は母乳と同じ自律授乳ですので、前回の「レッスン8」を参考にして下さい。また、粉ミルクの濃度は必ず規定の濃度で調整しましょう。薄めすぎると赤ちゃんの栄養状態の低下を招きかねません。
乳児期には医療的問題のない限り水を与える必要はありません。同様に、果汁も離乳食が始まる以前の赤ちゃんにはまったく不要です。また、一昔前までだと月齢2ヶ月頃から固形物を与えて赤ちゃんを育てていましたが、最近の研究によると、こうした早期に固形物を与えることはアレルギー発症のきっかけとなる場合があることが分かってきました。発達上、4ヶ月未満の赤ちゃんは固形物を摂取する用意ができていませんので、医者からの特別な指示がない限り与えないようにしましょう。
医学顧問委員会の委員長として、栄養補助食品会社であるUSANA、Health Sciences社及びサーブのスポークスマンとしてアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド及び日本各地で、医師、保険専門家はもとより、子どもたちの両親をも対象にして、子ども栄養学に関しての講義をして廻る。
著書に『How to Get Kids to Eat Great & Love It!』
平成10年昭和大学医学部卒業。大学病院勤務を中心に、千葉県こども病院未熟児新生児科でこども専門医療に従事、町田市民病院小児科などで地域医療にも関わる。2001年から沖縄県石垣島の県立八重山病院で離島医療に携わる。2002年、アレルギーの専門病院である国立病院機構相模原病院の小児・小児アレルギー科へ配属。最先端の気管支喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーの治療に関わる。子どもにとって何が一番よいのかを常に考えながら、代替医療、統合医療を積極的に取り入れている。
http://www.tama-garden.com/
平成17年立教大学コミュニティ福祉学部卒業。平成19年東京国際大学大学院臨床心理学研究科修士課程卒業。メディカルサプリメント指導士。児童福祉司。食育指導士。プレイセラピーや発達心理学を学び、小学校でスクールカウンセラーとして子どもの心理面のケアを行う一方で、食育・栄養学などの知識も有し、心身両面からの治療および発達支援を研究している。