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セントジョーンズウォート!どうやら凄腕?

怪しい健康情報の見抜き方

セント・ジョーンズ・ウォート

※注意 うつ病治療中の方は必ず医師に相談が必要です・・・。

セントジョーンズウォート!どうやら凄腕かも!?

先日、留学帰りの若い女性が来院しました。彼女は、帰国直前に米国で診療を受け、SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)がいきなり処方されたことに驚いたと語っていました。少々気分が落ち込んでいることをちょっと担当医に話をしただけだといいます。SSRIは副作用の少ない抗うつ薬として急速に米国で広まっているようです。これは、ライフ・スタイル・ドラッグという考え方が浸透つつあることが関係しているのでしょう。ライフ・スタイル・ドラッグとは、生死にかかわる病気ではないものの、その投与により生活の質QOLが高まるような薬剤のことです。

有名なのはバイアグラですが、その他にも育毛促進剤プロペシア、肥満治療薬のメリディアなどがあげられます。ちょっと気分が落ち込んだときに飲む薬、それがライフ・スタイル・ドラッグとしてのSSRIです。もちろん、一般の精神科でうつ病治療に使用される薬でもあります。しかし、まだ日本ではライフ・スタイル・ドラッグとしてのSSRIはなじまないでしょう。日本の内科医はちょっと落ち込んだだけでは、すぐに抗うつ薬を投与することはあまりないし、まだ精神科の敷居は高い。しかも、従来の三環系の抗うつ薬の一つアミトリプチリンなどは一錠(10 mg) 10円70銭であるのに対し、日本で売り出されたSSRIの一つフルボキサミンは一錠(25 mg)60円50銭もします。

そこで私がライフ・スタイル・ドラッグとして注目しているのが、セント・ジョーンズ・ウォート(St. Jones wort, Hypericum perforatum)です。セント・ジョーンズ・ウォートは、西洋オトギリ草というハーブの抽出物です。日本人にはなじみが薄いが、欧米では抗鬱作用のある栄養サプリメントの一つとして注目されています。その軽症から中等症の鬱状態に対する効果は、コクランライブラリなどのメタ・アナリシスにても明らかとなっています。なんと、つい先日発表された急性鬱病の薬物療法ガイドラインでも、このセント・ジョーンズ・ウォートは軽症の急性鬱病に対し短期的な使用が提案されています。

ただし、注意しなければならないのはその抽出物の規格が統一されていないことや、最近指摘されている他の薬剤との相互作用です。セント・ジョーンズ・ウォートは肝臓の薬剤を代謝する酵素チトクロムP450を誘導するといいます。このため、ジゴキシンやニフェジピンなどをはじめとした医薬品の代謝を促進し、その血中濃度を低下させてしまう。たとえハーブであっても副作用や薬物相互作用も無視できません。

長引く不況、リストラ、増え続ける少年犯罪など、今のご時世、うつになる材料はいくらでもあります。そんな世の中、セント・ジョーンズ・ウォートなどに頼らなくてはやってられない、とぼやく声が聞こえるような気がします。

注)実際に鬱病の治療をうけている方は、勝手に今の治療をやめてSSRIやセント・ジョーンズ・ウォートなどに手を出さないでください。必ず主治医に相談してください。





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